泣いても、いいんだよ


登場人物
ルルーシュ(語り口)、キラ(SEED)

場面
ルルーシュはスザクがランスロットのパイロットと知り愕然としているところ(夜)



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「君は...僕と同じだね」

突然現れた男は言った。


自室のベッドでうずくまっていた俺は顔を上げた。

「は...?」

男はすっと近寄ってきて頬に触れる。

「泣いてたでしょ、ルルーシュ」

「ばっ...!何故俺が泣くんだ!それより、おまえは誰だ!」


男の手を振り払い立ち上がる。そいつはクスッと笑った。

「僕?僕はキラだよ。キラ・ヤマト」

「名前を聞くだけじゃ...」

「だよねぇ。でも、心配いらないよ?僕は君の敵じゃないから。君を守るために来たつもりだよ」

「夜中に他人の部屋に突然現れる奴を信じるほど、俺は馬鹿じゃない」

少し後ずさってそいつ...キラとかいう奴から距離をとる。顔には微笑を貼りつけ、今のこの状況の分析にかかる。

こいつはいつからここにいた?
なぜここにいる?
僕と同じだね、だと?
俺を守るために来た、だと?

「それはそうだね」

キラは少しも動揺せず言葉を続ける。

「でも、僕は君の事をたくさん知っているよ。君はゼロでブリタニアに反逆していること、そして最大の敵が親友のスザクだったこと」


肩がびくりと震えたのが分かった。

「今、君はどんな気持ち?信じてたのに...、って?」


キラはすいっと手を伸ばす。

俺は一瞬でとらえられ、キラは俺を抱きすくめた。

驚きで言葉もない俺にキラは言う。



「分かるよ」

幼子のように頭をなでられる。

「我慢することないんだ。泣いていいよ、もっと思い切り」



すっきりするまで泣いて泣いて、それから結論を出せばいい。


そうして出したその結論は、きっと間違ってないはずだから...


だから...



だから泣いて...



        ルルーシュ...





その声を、その言葉を聞いてるうちに


俺の涙腺は壊れた。





20081212




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