01


それは、
音から始まった、…





+゜。・…音は語る…・。゜+


俺、ルルーシュ・ランペルージは、国立音楽大学附属高校に入学した。ちなみに専攻はピアノだ。
地方出身のため、俺は高校の近くのアパートを借りて一人暮らしをすることになった。


「おはよう」
「おはようございます」
ある朝、俺の住む部屋の向かいの住人と鉢合わせた。エレベーターに一緒に乗り込む。
「音高生?」
彼は俺の制服を見てそう言った。
「あ、はい。一年生です」
「そうなんだ。僕もその音高に通ってたよ」
初めての会話はその程度だった。

大家さんが自慢気に語ってくれた話によれば、向かいの住人の名前は枢木スザク、某有名オーケストラに在籍するヴァイオリニストらしい。
たしかに、時折聞こえてくるヴァイオリンの音色は太く艶やかで美しかった。


そのアパートは、器楽可能のアパートで、楽器の練習の音はあまり聞こえないようになっていたが、意外に廊下の音はよく聞こえた。
特に、向かいの枢木スザクはドアに風鈴のようなものを付けているらしく、出入りするたびに『ちりん、ちりん』という音がした。
近くのコンビニにでも行っているのか、夜中でもその鈴の音と彼の足音はよく聞こえた。

無用心だな。空き巣に入ってくださいと言っているようなものじゃないか。

ちらっと俺はそんな事を思った。
高校一年生の前期の頃、俺の枢木スザクに対する認識は、ただそれだけのものだった。




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