08
かくして、奇妙な共同生活は始まった。 いやはや、共同生活とはこわいものだ。たった1日で、人となりが大方分かってしまうのだから…。
「あ、ルルーシュ。夕飯はどうする?」 「え…どうするって…俺、作りますけど」 「ほんと?じゃあ僕も手伝うよ!」
数分後。
「…枢木さん」 「うん?」 「やっぱり手伝わなくていい」 「え、でもそれじゃあ不公平…」
違う違う違うそういう問題ではない…! 俺は怒りとともに、よどみなく言葉をつむぐ。
「いえいえ、そう思うなら、次の買い出しのお会計は枢木さん持ちにして下さい、それでおあいこでいいです。枢木さんは台所に立たない方がいいです、むしろ邪魔」 「…そっか、うん、分かった」
枢木は料理が壊滅的に下手だった。
「うわあ、豪華だねぇ、ルルーシュ!」 「…何が」 「料理だよ料理!何種類もおかずがあるし、きちんと盛り付けられてるし、焦げてなくて綺麗だし…!」 「いや、普通ですよ」
普段どんなもん食ってるんだ…?
「これが全部手作りなんてすごいや!僕いつも手作りだと悲惨だからコンビニ弁当か外食だし」
やっぱりか!ああ、だからあんなに外出が多いのか。コンビニに食料買い出しに行ってたからか。なるほどなるほど。 …って!そりゃまずいだろう。
「枢木さん」 「ん?どうしたの、こわい顔して」 「毎日そんな食事してると塩分摂取過多になります。塩分取りすぎると、動脈硬化や脳梗塞などの原因になるし、健康的に非常に危険です」 「え?…はぁ」 「それに、味覚も鈍くなります。俺の料理の味、あんまり分からないんじゃないですか」 「それは大丈夫だよ!ルルーシュの料理だもん!」 「は?」 「ルルーシュが作ってくれたものなら、何でも美味しいよ!」
そして、枢木は壊滅的に頭がイカれていた。 …だんだん慣れてきてはいるが。しかしそれもいささか問題な気がするのは、俺だけか?
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