「あれ?そういえばさ、ネズミ」
「うん?」
「兄弟はいないって、この前遊園地に行った時言ってなかったか?」
「…なに、そんなにイヴのこと、気になるんだ」
「ち、違うよ、きみの家族だから聞いてるんじゃないか」
「…はぁ。あの時おれは、女兄弟はいないって言ったはずだぜ。イヴは男だし」
「あ、なるほど。でも、高校は別々に通ってるんだ?」
「ああ、あいつ、最近帰国したんだよ。先週くらいまで両親についてアメリカにいたから」
「あっ、そうなんだ」
「しかも、アメリカでは俳優としてデビューしてるし。それも女として」
「はっ?」
「あ、イヴはれっきとした男なんだけどね。女装はただの趣味らしい。そうそう、この前のワンピースとかウィッグとかはイヴに借りたんだ」
「そうだったんだ…。きみたち、特殊な双子だね」
「そうか?あいつは昔からおかしな奴だったけど、おれたちまあまあ仲は悪くないんだぜ」
「…そう」

妙な嫉妬を覚える紫苑であった。

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