I want you.

夏だからといって、高めのヒールで散歩をするんじゃなかった。私はくたくたになり靴擦れした足を散歩していて見つけた公園のベンチに座る。初めて来た公園だけれども、賑やかだな。その理由は公園の辺りを見回してからやっとわかった。

「さー。お次は〜!」
「わー。すごいね!お兄ちゃん」

一人の少年が芸を披露しており、大人達や子供達が拍手を送っている。近くで見てみたい気もするが、今は足の痛さの方が重要だ。私はベンチに座りながら、少年がやっている芸を見る。

「ありがとうございました〜!また見てやってください〜!」
「見てやってください〜!」

少年の芸が終わり、オウムの声でお客さんが散らばっていく。私もそろそろ帰ろうかな。立ち上がろうとしたけれども、まだ足の痛みが治まっておらず私はまたベンチに座る。

「無茶しすぎると、歩けなくなるよ」
「えっ」

声がして驚いて見上げれば、さっきそこで芸を少年が私の前にいて「隣に座るね」と私の隣に座った。

「足、どうしたの?」
「足靴擦れしちゃって」
「じゃぁ、これあげる」

そう言って、少年はポケットから絆創膏を取り出すと靴擦れした足に貼りつけてくれる。なんて、優しい少年なんだろ。ありがう。とお礼を言う。

「いいよ。怪我したお姉さんを放っておくなんて俺できないし」
「優しいんだね」

笑顔で言えば、顔を真っ赤にする。少年らしい反応が初々しく、私は笑う。

「なんで、笑うのさ」
「君、可愛くって」
「君じゃなくてクーザ!クーザって呼んでよ」
「クーザっていうんだ。私は名前」
「苗字ね。名前覚えた!」
「覚えた!」
「じゃぁ、俺行くね」

クーザは立ち上がれば、私の前に立ち手を握られる。何だろう?

「俺、名前のこと欲しくなったから、今度また会ってくれる?」

それは告白と受け止めていいんだろうか。私は顔を真っ赤にしながら、頷けばじゃぁ、また今度ね。とクーザは言ってこの公園から姿を消す。まさか、年下の男の子に恋をするなんて、思っていもいなかった。私は顔を赤く、足はまだ痛かったが顔の熱を冷ますため家に帰った。