私の特権

(※東堂の妹設定)






私のお兄ちゃんはもてるらしい

そう気付いたのは私がお兄ちゃんと一緒の高校に入学して間もない頃だった
私が東堂尽八の妹だと発覚してからは毎日質問三昧で少し辟易していた

「ねぇねぇ、 尽八くんって彼女ちゃんのことは名前で呼ぶの!?」
「うん、そうだよ」
私が肯定すると、私の机を囲んだ女の子達はきゃあきゃあと騒ぎだした
「うらやましー」
「尽八くんって家ではどんな感じなの!?」
「会話とかするの?」
一斉に詰め寄ってくる女の子の迫力に圧されそうになる
私が質問の答えに悩んでいると、お兄ちゃんが私の教室に来た
「おーい 彼女?帰るぞー」
その声に女の子達が一段と騒いだ
(お兄ちゃんすごいなぁ)
すっかりお兄ちゃんの方に行ってしまった女の子達を遠目で見つつ帰り支度をし、教室を出た

明日からしばらく長期休暇でお兄ちゃんが家に帰ってくるから今日は一緒に帰れるのだが、やはりお見送りのごとく女の子達がお兄ちゃんを囲っている

「では名残惜しいが俺は家に帰らねばならない みんな、また明日会おう!」
お兄ちゃんが女の子達に向かって指をさすと、キャー!という黄色い歓声があがった
私たちを乗せた自家用車が校門から離れ彼女らの声も聞こえなくなってくると、落ち着いた静けさが戻ってきた
ふぅ とため息をつく
これが日常 悲しきかな これが東堂尽八の妹の宿命なのだ
「大丈夫か···?」
隣で座っているお兄ちゃんが心配そうに顔をのぞき込んできた
首を傾げて少し微笑んでみせる するとお兄ちゃんも安心したように綺麗な顔を綻ばせて私の頭を撫でた その心地よさに思わず口元が緩んでしまう
「明日からは長期休暇だ いつもは彼女と一緒にいてやれんが、長期休暇中は毎日共にお風呂に入ったり同じベッドで眠ったりできる!思いっきり甘えていいぞ!」
「お兄ちゃん、それはさすがに恥ずかしいよ···」
「む、恥ずかしがることなどあるまい!かわいい彼女の多様なシーンを見られるのは兄である俺の特権だからな!その特権を奪うことは如何なる者でもこの俺が許さんよ!どれ、まず手始めに家に着くまでの間、熱い抱擁を交わすとしよう!」
そう言ってお兄ちゃんが私の腰に手を回し自分の方に抱き寄せた
「暑苦しいよ お兄ちゃん!」

抵抗の意を述べる私の口とは裏腹に心は優越感に膨らんでいた









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