本よりボクを構え

今日は朝から陰鬱とした雨が降っている
こんな天気では船が出せないからと自由行動になったので、私は宿屋の部屋のソファーで本を読んでいた
いつもなら皆でルカ達の部屋でボードゲームなどで遊ぶところなのだが今日は騒ぐ気にならず何となく一人になってしまった
薄暗い部屋でじっと活字に夢中になっていると、後ろから色白の手が伸びてきて勝手にぺージをめくられた
「まだ読んでないんだけど」
そう言いながら後ろを向くと黒髪の女顔がふてぶてしい顔で隣に座ってきた
「ねぇ、ボクを差し置いて一人で何してるの?」
「今日は本を読みたい気分だったから···コンウェイこそなんでこっち来たの?」
コンウェイはスパーダに強制的にゲームに参加させられていたはずだ
「あんな子供みたいなこと、馬鹿馬鹿しくてやってられなくてね」
「···毎回本気で参加してるくせに」
「うるさい」
「いっ」
頬を引っ張られた  酷い
「とにかく、私今日はこの本読み終わるつもりだから コンウェイも適当な本読めば?」
コンウェイは一瞬むっとしたがすぐいつもの微笑に戻った
「しょうがない、じゃあ彼女が読んでる本を読ませてもらおうかな」
なんでそうなる
「いや、私が今読んでるし」
「いいよ君はそのまま読み続けて」
そう言うとコンウェイは私を軽く持ち上げて自分の膝に座らせた
「こうすれば二人でも読めるだろう?」
いやいやいや読めるわけないでしょう
コンウェイのふわふわした髪が首に触れてくすぐったくて思わず笑ってしまう
「ほら、読まないの?」
白くて細い指が本を持ってる私の手を撫でる
「読まないんじゃなくて読めないの!」
「彼女は神経質だね」
こんなことされたら本に集中できるわけない
私がため息をついて本を閉じると、彼はしてやったりといったような顔で私を抱きしめた


「君が夢中になっていいのはボクだけで十分だ」







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