「愛してる」 そう言ってくれる君は、もういない。 愛し君へ、 「帰ってこないねー、ヒヨリ」 「そうだねー、いなくなって結構経つのにね」 「おかげでリューグが毎日かりかりしっぱなし…」 「「「…早く帰ってこないかなァー」」」 そんな会話が部屋の中でされているとは露しらず、話の中心であるヒヨリは今いずこ。 もう一人、ヒヨリとは別に話に上がったリューグは、再開発地区でひたすら斧をふるっていた。 「(…何でいねぇんだよ)…っ、くそっ」 ブゥン、と斧を大きくふると、軽く舌打ちをして座り込む。 どんなに斧をふるおうと、今はいないヒヨリへの思いが消えることはなかった。 「リューグ!」 「…何だよ」 呼ばれて気だるそうに振り向くと、息をきらせ、やけに焦り顔のロッカがいた。 「ヒヨリさんが!」 「…ヒヨリが?」 「今、シオンさんのところにいるんだ…帰ってきたんだよ…っ」 「…っ!」 聞くやいなや、愛用の斧を置いたまま、蕎麦処あかなべへ走り出していった。 その後ろ姿を見送った後、置き去りにされた斧を手に、リューグが走っていった方へと歩き出す。 「まったく。ヒヨリさんのことになるとすぐこうだ…」 一人ごちた後、はぁ、と小さくため息をついた。 「ヒヨリ!!」 「リューグ、久しぶり〜」 久々に会うヒヨリは、別れたときから何も変わってはいなかった。 外見も、態度も、雰囲気も。リューグが最後に別れたあの日から、何一つ変わっちゃいない。 「いやね、リューグを追い掛けて行ったはいいんだけど。これがまたなかなか見つからなくてさー」 「…バカじゃねーの?」 「まっ!失礼しちゃうわね!一人じゃ寂しかろうと思って…ひゃあ!」 「どんだけ、心配したと思ってんだよ…」 「うん…ごめんね、リューグ」 ぎゅうっと、強く抱きしめられた。 それはほんの少しだけ懐かしくて、ほんの少しだけ切なくて。 「もう、どっこも行かないよ。だから、安心して?ね?」 「…約束守れよ」 「うん、守るよ」 世界の誰よりも愛しい君だから、 「あいしてる」 この手の中から、放したくはないんだ。 今年最後がコレで良いのか。笑 4の息抜きで2やったら、思わずもえたんですよドチクショウ!! 06 12/31 |