「伯約は、わたしが嫌い?」 わたしは椅子に座って点心をもぐもぐと口に運んで、一生懸命執務をこなす伯約の背中を見ながら、わたしにとってはごく普通でも伯約にとっては突拍子のないことを口にした 「ひより、いきなり何を…」 その言葉で、ゆっくりとわたしの方へ向き返った伯約は、ちょっと困ったような、だけどいつもの笑顔でわたしに言う。 「わからない。でも言葉にしなきゃいけないような気がしたんだ。ごめんね、執務中断させて。続けて?」 わたしが伯約の部屋で点心をもぐもぐ食べながら、執務をこなすその背中を見るのはほぼ習慣になっていて。何となく、あんな言葉がふわっと浮かんできて、困らせるつもりはなかったのだけどどうしても言葉に出して言いたかったんだ 「ひよりは不安?」 伯約の声に点心を見ていた顔をあげると、いつの間にかわたしと向かい合って座っている。そしてその手には筆ではなく桃まんが握られていた(ああそれ楽しみにとっておいたわたしの桃まん。) 「不安、なのかな…。どうなんだろう。わかんないや」 そう言えば、あの時からはっきりと、面と向かってそう言うことを言われた覚えがない気がする。伯約は忙しい人だから、負担にはなりたくない。だけど、やっぱりわたしは不安なのかも知れない。態度で示してくれてもやっぱり、寂しいから、ちゃんと、伝えてくれなくちゃ。 「最近、忙しくて会話もままならなかったしね。でも明日は休み、もらったから」 そう言ってニッコリと笑う。ああやっぱりわたしは伯約の事がとんでもなく好きなんだって今更気付いた。もし伯約がわたしを嫌いになったとしても、それでもわたしはずっと、ずーっと、好きでいるに違いない。 「ホント?じゃあ、明日はゆっくりしよう?」 「そうだね、久しぶりにゆっくりしようか」 胸がカァっと熱くなった。嬉しい、そんなありきたりな言葉しか浮かばない、でも嬉しいんだ。 「それじゃあ、わたしはこれで失礼するよ。執務、頑張ってね!」 「うん、頑張るよ。そうだひより、ちょっと…」 「何?」 空になったお皿を持って部屋を出ようと思ったら、伯約に手招きされて言われるがままに伯約の隣に腰を下ろした。一つの椅子に二人で座ってるなんてばかげた状態だけど、何だかいつも以上に胸が弾むんだ。(それはきっと、いつも以上に伯約に近づいて、感じてるからなんだろうな、ってふと思った) 「愛 し て る よ」 耳元でそっと紡がれた言葉に顔が火を噴いたように紅くなった。ああもうどうして伯約はわたしの喜ぶツボを知っているんだろう。 「どうして、そんな恥ずかしいことを簡単に言えるの、よ」 紅い顔のまま、そう伯約に言っても、伯約はただくすくすと笑っているだけだった。これだけでも愛おしいと思うわたしはもう、伯約なしでは生きられないのかもしれない 溺愛ジャンキー 最初のセリフだけポンッと頭の中に浮かんで、そこからざかざかっと。何 たまには、と思ってタメ語なきょんを書いてみた。失敗したかもしれない(ダメ) 何かちょっと、黒い…? 06 6/4 |