Pharmacy

時は夏休み目前、明日から恐怖の期末テストが幕を開ける。
初日からいきなり簿記と現代文のコンボが待っている。(現代文は嬉しいけど簿記は嬉しくない。)
じりじりと照りつける太陽の下、わたしは重たいスクールバックを自転車の籠に放り、家路へと着いた。


「…だるい、暑い、溶ける…」


吹き付ける風すら暑い。爽やかな風は一体どこにいるのだろうか。
そんなことを思いながら、気力で自転車のペダルをこぐ。
あぁ、後少しで我が家だ!わたしは自由だ!と気力を奮い立たせていると、目の前に光り輝く何かが見える。


「…何あれ、なんか見覚えある気がするけど…なんだ?」


見覚えのある何かの前まで着たとき、わたしの中の何かが閃いた。


「あっ、なーんだセーブポイントじゃ…え、何でセーブポイントよ…意味わからんし」


そう言えば、ラスボス前にスキット収集とか始めちゃってまだクリアしてなかったなぁ。
とかどうでも良いことを思い浮べながら、わたしはおそるおそるセーブポイントらしきものに近付いた。


「(…これに乗ったら、どうなるんだろう…わたしの人生セーブされんのかな)えいっ」


今思えば、なんてアホな事をしたのだろう。君子危うきに近寄らずじゃないか。
大事な大事なスクールバックを肩に掛け、セーブポイントらしきものに飛び乗ったわたしは見事に下へ下へと落下していった。


「ひっ、ぎゃあああああああああ!」


こんな切羽詰まってるときに、マンガのようなかわいい悲鳴を出せる人がいたら、わたしは心底尊敬します。
いつもより無駄に重いバックを抱えて、わたしは意識を青い空の彼方へ飛ばした。





始まりはセーブポイント
(あぁ、どうか苦しまずに死ねますように。)



10 7/15
これはひどい。



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