第三回


「リヴァイ兵長、また始まりましたよ人類最強のお悩み解決のコーナー。」
「……またか。」
「はい。」
「またどうでもいい悩みを解決しなくちゃなんねぇのか」
「そうですね。」
「面倒だな」
「とりあえず知らない方の為にも説明しておきますね。このコーナーは人類最強でお馴染みのリヴァイ兵長にみんなの悩みを解決してもらおうというコーナーです。そして私は進行を務めさせて頂きます、助手です。」
「……なんかお前今回はテンション低いな。どうした」
「え?別になにも。」
「何かあったのか」
「ありませんよ?」
「…そんなことねぇだろ。明らかに初回の時のテンションと違うじゃねぇか。何かあったんなら言え。ここはそういう場だろうが」
「あ、なんかすみませんね気を遣わせてしまって。でも本当に何もないんですよ。ただこのコーナーも三回目なので、いつまでもあのテンションでいるのはキツイかなぁと思いまして」
「いやそんなリアルな諸事情なのかよ……しかもつまりは手抜きってことじゃねぇか」
「まぁでもお悩み解決のコーナーはちゃんと助手として進めていきますので、今回もよろしくお願いします。リヴァイ兵長」
「お前までやる気をなくしたらいよいよ本当に誰得なんだよ。何の為にやるんだ」
「それはもちろん、貴重な時間を割いて拍手をしてくれた皆様の為です。皆様の暇つぶしの為に私達は全身全霊をかけてこのコーナーをやるんです」
「随分と手軽な全身全霊だな。」
「今回もまたお便り届いてますので。そろそろ始めますか」
「……」
「……兵長?どうしたのですか。もしかしてまた退出させろとか言うんですか?もうそのくだりはいいです。」
「…いや……。それより、どうせならせめて少しでも明るい面でやってもらいたいんだが」
「え?……あはは、リヴァイ兵長…ご自分はそんな仏頂面してるくせに私には笑顔を強要するのですか?とんだ人類最強ですね」
「なんかお前当たり強くないか?何でそんなやさぐれてんだよ。仮にもお前の上司だぞ俺は」
「……じゃあ正直に言います。」
「は、…やっぱり何かあったのか」
「ええ。」
「なんだ、何があった」
「………」
「…言ってみろ」
「……この前、私はリヴァイ兵長にペンを貸しました。だけどそれは私の元へ返ってくることはありませんでした。信じられないことに兵長は『失くした』と言いやがりました。」
「…………、あぁ…。まだ怒ってたのか、お前」
「あれはお気に入りのペンだったんです。なのに兵長は失くした代わりに違うペンを私に渡してきました。…違う、そうじゃないんです。私はあのペンじゃないとダメなんです。代わりなんてないんです」
「お前あのペンにどんだけ思い入れがあるんだ。もしかして形見か何かか?」
「別にそういうものではありません。ただあのペンが好きだったんです私は」
「そんなに気に入ってたんなら人に貸すなよ。」
「……何ですかそれ!リヴァイ兵長が貸せって言ってきたんじゃないですかー!失くしたくせに偉そうなこと言わないで下さい!あのペンはそれなりの値段したんですよこんちくしょう!金返せ!」
「………金の問題かよ。」
「ええそうですよお金です!高かったんですあれは!!なのにー!」
「……何だよ。そういうことかよ。だったら同じもんをまた買ってやる。それならいいか?」
「っえ、買ってくれるんですか?」
「そこまで言われたらな。」
「……え、うそ、えっいいんですか?うわーい!それなら許してあげます!」
「あぁ……(単純だな)」
「やったー!」
「……だがそれならそうとなぜ早く言わなかった」
「え、だってこんな器の小さい人間だと思われたくないじゃないですか」
「……これを見ている連中にか?そんなこと気にしなくてもお前のことなんか誰も何とも思ってねぇよ。」
「いや違いますよ。リヴァイ兵長にです。」
「…………。」
「でもまぁいいです。つい勢いで口が滑ってしまいました。仕方ないですね」
「……」
「なんだか話が逸れてしまいました。そろそろ本当に始めましょうか!」
「…ああ。」
「ではさっそくお便りを読みたいと思います!お便りネーム“DAN☆CHO”さんから頂きました。」
「…………突っ込んだ方がいいのか?」
「いえ、いりません!ではお悩みの方を。…『先日、部下に真顔で両脚の骨を折るとか言われました。ビックリしました。どうしたらいいでしょうか』………ですって。」
「………、」
「ですって、リヴァイ兵長。何でこんなこと言ったんですか?」
「いやなぜ俺に聞く」
「だってこんなことエルヴィ………DAN☆CHOさんに言える人なんてリヴァイ兵長くらいしか居ないでしょう?」
「……知るかよ。」
「まぁいいです。とりあえず今は解決してあげるのが兵長のすべき事なので。可及的速やかに解決しちゃってください!」
「………別に、もうそんな気はない。気にせず過ごせ。」
「……以上ですか?」
「…以上だ」
「……っはい!人類最強の答えは『気にせず過ごせ』、です!なのでDAN☆CHOさん、これからは怯えずにぐっすり眠って下さいねー?」
「………。」
「ではどんどんいきましょう!お便りネーム、“エレンは家族”さんから頂きました!」
「……。嫌な予感しかしない」
「えーっと……『最近、私があまり良く思っていない人間と同じ名字だったということが発覚して気分が悪いです』……、これはお悩みなのでしょうか?」
「知らねぇよ」
「でもとりあえず……解決しておきますか?」
「解決のしようがねぇだろ」
「まぁそうですね。ただの愚痴ですしね、これ」
「……」
「あっでも。それならエレンと結婚して名字を変えればいいんじゃないかな?」
「……どうだっていい…。」
「兵長と同じなのが嫌なら、エレンと結婚してイェーガーになれば万事解決!」
「オイなぜ俺と決め付ける」
「え、……だって……ねえ?」
「……。」
「まぁ仕方ないですよ。あまり気にしないで下さい、兵長」
「……」
「ちなみにお便りは以上です」
「……そうか」
「…なんだか今回は全体的にお悩み解決というよりただのリヴァイ兵長への愚痴大会みたいになってしまいましたね」
「そんな大会を開催したつもりはない」
「可哀想なので、もう私のペンの件については何もしなくていいですよ。買わなくていいです。」
「………いや、いい。それとこれとは関係ねぇ」
「でもなんだか申し訳ないですし。…兵長が代わりにくれたペンをこれからは大事にしていきますよ。」
「そういうわけにはいかねぇ。そもそも借り物を失くした俺が悪い。そして何よりお前のその心遣いが逆にツライ」
「えー……あ、じゃあ、ペンよりも、あの。連れて行ってもらいたいところがあります」
「……何だ」
「この前、同期の駐屯兵からおいしい紅茶が飲めるお店が新しく出来たと聞きました。そこに連れて行ってくれませんか?」
「………。」
「ね?そうしましょうよ!私ずっと気になってたんです!」
「……本当にそれでいいのか」
「はい!それがいいです!」
「………。…分かった。」
「じゃあさっそくこんなコーナーほっぽって、今から行っちゃいましょう!」
「こんなコーナーって言うなよ助手が」
「さぁさぁ行きましょー!いえいいえーい!」
「……しょうがねぇ奴だな…」
「ではここまでご覧になって下さった皆様、お付き合いありがとうございました!私達はこれからおいしい紅茶を飲みに行ってきまーす!兵長、最後に見てくれてる方へ何かコメントを!」
「………お前らは、俺のことが好きなんだよな?」
「(人類最強が愚痴ばっか言われて不安定になっている!?)……っそ、そうですよ兵長!ここに来てくれている人達は兵長を好きな人しか居ません!…はずです!」
「……そうか。」
「兵長なしじゃ生きていけない人達ばかりです!」
「いやそこまでじゃねぇだろ」
「いやいやそうじゃないですか?知らないですけど多分。(適当)」
「てめぇ適当に言ってんじゃねぇよ」
「まぁとにかく大丈夫です!ほらほら聞こえてきませんか?『へいちょーだいすきー!』という声が」
「全然聞こえない。」
「マジか!……ならば致し方ないですね!さっさと紅茶屋さんに向かいましょう!」
「ああ。」
「では皆様、また会う日まで!ばいばーい!」
「…じゃあな」


end

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