リヴァイの誕生日にマッサージチェアをプレゼントした。彼はいつも何かと忙しそうでロクに休めていなさそうだったから、少しは体をほぐして休みなよとそういう理由でプレゼントした。 最初は「何だこれは」みたいな顔をしていたリヴァイだったが(ていうか実際に言ってたけど)一度使ってみると気に入ったらしく「悪くない」などと言っていた。 それは良かった、と私も嬉しくなった。 そしてそれから一ヶ月後。 「ナマエ、」 「……ん?あぁリヴァイ。おはよう」 「…あの…お前からもらった、やつだが……」 「マッサージチェアのこと?」 「ああ……」 「どうかしたの?」 なんだか少し深刻そうな顔をしているリヴァイに首を傾げれば、ガッといきなり腕を掴まれリヴァイの部屋まで連れて行かれた。 「ッこいつ、あまりにも気持ちよすぎるだろ!!」 「………え?」 バタンとドアが閉まり腕を放されたと思えばマッサージチェアの前でそんなことを言ってきた。 「お前にこれを貰ってから、ダメなんだ、どうしても使っちまう……」 「…え……別にいいじゃん……好きなだけ使いなよ」 「寝ちまうんだよ。どうしても、気がついたら寝ちまってる」 「ふーん。だから最近顔色良かったんだ」 「俺の生活スタイルを崩してきやがる!こいつは!」 「へー」 「困るんだよ、仕事に支障が出かねない」 「そう?」 「いやむしろこの部屋で仕事していると気になって仕方ない。すでに支障が出てる」 「あはは、そんなに気に入ってくれたんだー嬉しいよ」 「よくねぇ」 「そのうち落ち着くんじゃない?」 「それは分からん。だが現状はこの通りだ。困っている」 「うーん。そう言われても」 「だからお前、俺が寝てたら起こせ。」 「え?」 「俺が長時間寝ないように、少ししたら起こしてくれ。頼む」 「…えぇ……」 ということで。なぜかリヴァイの部屋で夜を過ごす事になった。 そして彼の言っていた通り、本当に(すでに動きは止まっている)マッサージチェアに座ったまま寝てしまった。よっぽど気持ちがいいのか。ていうかリヴァイを起こす役目の私の睡眠時間はさよならグッバイなのか? 「(…まぁしかたない……)」 ふうとため息をこぼし、そろそろリヴァイを起こそうと、近づいてみる。 「リ……、」 リヴァイ。 名前を呼ぼうとして、止まってしまった。 「………、」 眠っている。静かに寝息を立てている。 そういえば、リヴァイの寝顔とかけっこうレアじゃない?あんまり見ることがないっていうか。 「(……随分と気持ち良さそうに寝てるなぁ…)」 本来、私はこれを使って彼に体を休めてほしかった。それが叶っている。本当に最近のリヴァイは目の下のクマも薄くなってきていて顔色も良かったと思う。こうしてゆっくり眠ることは、いいことのハズなんだ。 「………。」 私は眠っているリヴァイにそっとタオルケットを掛けて、一人机に向き直った。 ◇ 「朝になってんじゃねぇか……!」 「……おはよう。いい朝だね」 「起こせと言っただろうが!?」 声が聞こえてきて、そっちを見ながらグッと腕を上に伸ばした。 「(さすがに眠いな……)だって、あまりにも気持ち良さそうに寝てるから……起こすの可哀想かなって」 「お前俺の話聞いてなかったのか!?」 「……… 、」 朝からごちゃごちゃとうるさいリヴァイを無視し、窓の方に目をやれば朝日が入ってきていた。まぶしくて目をこすりながら、私はまた机上へと視線を戻す。 「(これで少しは負担が減ったかな)」 彼が寝ている間に私の出来る範囲で勝手に進めていたリヴァイの仕事を見つめながら、だんだんと落ちてくる重いまぶたに逆らうことなくそのまま目を閉じる。そして机に突っ伏した。 |