「リヴァイさん見てください!雨が上がっています!」
「……そりゃ良かったな」
「すごく天気がいいですよ!お日様も出てます」
「……そうか」
「いつの間にこんな素晴らしい天気になっていたのでしょう」
「……ナマエ。いいからカーテン閉めてこっちに来い。眩しい」
「ええッ。こんなに空がきれいなのに閉めてしまうのですか」


開いたカーテンを握ったまま、ソファで眩しそうにしているリヴァイさんの方に振り向く。

大学がお休みの今日は、ひとつ年上で少し前からお付き合いをしているリヴァイさんのお家で過ごしていた。
午前中に私が自分の家を出た時は雨がザアザア降っていたのだけど、お昼ごはんを食べたあとソファで少しだけお昼寝をしている間にすっかり天気が良くなっていた。(映画を観ながらまったりしていたらいつの間にか二人して眠ってしまっていた)


「リヴァイさん。また眠ってしまうのですか」
「……」
「朝までハンジさん達と飲んでいたんですよね?やっぱり今日は帰った方がいいですか」
「……何で知ってんだ」
「夜中ずっとハンジさんから画像が送られてきてましたから」
「あのクソメガネ……」
「私は眠っていたので気づいたのは朝でしたけど」


隣に座って横顔を見つめながら飲み会のことを口にすれば、閉じていた目をうっすらと開けてハンジさんのことを呟くと腕を組んだままちらりとこちらを見た。


「お疲れかなとも思ったのですが、…でも、会いたかったので、知らないふりをして来てしまいました。ごめんなさい」
「……」


ハンジさんが送ってくれたエルヴィンさん達と一緒に映っている、写真写りを全く気にしていないリヴァイさんの写真を全部保存したのは彼には秘密である。

ハンジさんには朝起きてから返事をしたけれどまだ既読がついていないことからおそらく今も寝ているのだろう。朝まで飲んでいたのだから当たり前かもしれない。だから、つまり、リヴァイさんもまだそれなりに疲れているはずなのだ。
なのに会いたい気持ちが勝って、約束の時間通りにリヴァイさんのお家に来てしまった。ちょっと、罪悪感。


「何謝ってんだ。そんなことを気にして来ないなどと言い出す方が許しがたい」
「…そうですか?」


昨晩の飲み会は元々予定にはなく、強引に連れて行かれたのだとリヴァイさんは言う。だからそういうことは気にするなと、ぐりぐりと髪を乱された。


「気を使わせて悪かった」
「いえ、全然。大丈夫です」


思わず表情が緩んで、寝転ぶみたいにリヴァイさんに抱きついて二人でソファに体を預ける。回した腕にぎゅうっと力を込めて頬ずりをした。


「リヴァイさん。ご迷惑な時はいつでもちゃんと言って下さいね。私はなんだかリヴァイさんと出会ってから、とてもワガママになっているような気がします」
「言いたいことがある時は言う。今のところお前を迷惑だと思ったことはない」
「本当ですか?」
「ああ」


単純な私はその言葉だけで胸がいっぱいになってしまう。嬉しい。
せっかく雨が止んだのだからお散歩にでも行きたいなと実は思っていたけれど、やっぱり今日はこのままずっと二人でまったりするのはどうだろうか。
リヴァイさんの手が今度は優しく私の頭を撫でる。


「なんだかもうずっとこうしていたいですねえ」
「このままだと確実に寝るぞ。俺は」
「一緒に寝ますか」
「いいのか、お前はそれで」
「私はリヴァイさんといられたらそれで十分ですので」


リヴァイさんの体温と呼吸しているのを直に感じながらまったりしていると、声が聞こえてこなくなったので眠ったのかな?と思い顔を上げればしっかりとこちらを見ている目と目が合った。


「……」
「リヴァイさん?」


首を傾げると、目の前の彼は真顔のままでなぜかいきなりぺしっとおでこにデコピンをしてきて、突然の攻撃に私は小さく声を上げる。もちろん大した威力はなかったのだが少しびっくりして一瞬目を閉じるとその間にリヴァイさんは上体を起こし、私ももぞもぞとソファに座り直す。
それから疑問に思いながらおでこに手をやった。


「何でいきなりデコピンするんですか」
「休日だからっていつまでもダラダラするんじゃねえ」
「リヴァイさんもさっきまで寝てましたよね?」
「うるせえ。そんなことより眠気覚ましに散歩にでも行くか」
「えっ」


リヴァイさんはそう言うとソファから立ち上がり、窓際まで行ってさっき私が閉めたカーテンをシャッと開く。容赦のない太陽の光が入ってきて私は目をつぶった。


「本当にすっかり天気が良くなってやがるな」


窓の外の空を見上げてつぶやくと、こちらに振り返りソファに座ったままの私を見る。明るい部屋に慣れてきた私はゆっくり目を開けて、リヴァイさんを見る。
後ろには青い空が見える。


「行くのか、行かねぇのか」
「行くます!」


そんなのもちろん行きたいに決まっている。なぜなら私はお散歩が好きなのだ。
食い気味に賛成しながら立ち上がると、そんな私を見てリヴァイさんが笑った。


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