「それで私、結局答えが出ないままで。どうしたらいいか分からなくて。ほらリヴァイって普段からあれが欲しいこれが欲しいとか言わないですし。でもだからって適当な物はあげたくないんです。ちゃんとリヴァイが喜ぶ物をあげたいっていうか。どうせなら喜んでほしいじゃないですか?誕生日なんだし。だけど考えれば考えるほど分からなくなってきて……リヴァイって何を貰ったら喜んでくれるんですかね?」


さあ、何だろうな。と団長殿は書類に目を通したままそっけない返事を返す。


「エルヴィンさん、ちゃんと聞いてくださいよ」
「聞いている。」
「じゃあ何がいいと思いますか?」
「さあ、何だろうな」
「もう。団長なんだから一緒に考えて下さいよお」


団長の部屋で駄々をこねていると、ちらりとその瞳がこちらを見る。私は瞬きをする。


「ナマエ、君も知っての通り団長の私は暇じゃあないんだ。申し訳ないが遊んでいる時間はない」
「はい。こちらもお遊びのつもりは毛頭ありません。至って真剣です。」
「そうか。仕事に戻りなさい」
「戻りますよ!エルヴィンさんが答えてくれたら」
「だから、分からないと言っているだろう」
「そこをなんとか!」
「君もしつこいな」
「だって元はと言えばエルヴィンさんが地下街からリヴァイを引っ張ってきたんですから、私のこの悩みもエルヴィンさんが原因と言っても過言じゃないはずです!」
「すごい理論だ。だがそれとこれとは話が別だ」


そう言うとエルヴィンさんはまた書類へと視線を落とし、ペンを走らせる。

うーむ。全然悩みが解消しないな。リヴァイの誕生日はもうすぐだというのに。困った。もう時間がない。
腕を組みながら首を捻っていると、ついに諦めたのかエルヴィンさんが握っていたペンを机上に置いた。


「そんなに悩まなくても、リヴァイはナマエが選んだ物ならそれが何であれ嬉しいんじゃないか?」
「…またそれ!みんなそればっか!」


みんなそれを言えば良いと思ってるんじゃないか?そんな無難な答えは求めてないんじゃい!
私がぷんすか怒っていると、エルヴィンさんが笑う。


「ならバースデーソングでも歌ってやったらどうだ?」
「それでリヴァイ喜びますか?」
「さあな。」
「適当!」
「ははは、」
「笑い事じゃないですよ」
「随分と熱心だな。」
「……そりゃあ、誕生日ですから」
「私の誕生日にもそんなに悩んでくれたのか?」
「そ、そりゃあもう団長ですから。三日三晩悩みました。ような気がします」


エルヴィンさんはまるで全てを見透かしたような目をして、そうか、と口角を上げる。


「しかし、結局は気持ちが込もっていれば何だって嬉しいだろう。本当にそう思うぞ。私は」
「そう、ですかね」


にこりと穏やかに笑って。


「ああ。分かったら仕事に戻れ。」


部屋を追い出された。


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