「前々から思ってたんだが」
「はい?」
「お前、敬礼する時少しばかり位置が上すぎやしねぇか」
「……え?そうですか?」
「ああ。ちょっとやってみろ」
「はぁ……、こうですか?」


リヴァイ兵長にそう言われいつものように敬礼をしてみると、じっと見つめてくる兵長は私に近づき心臓に当ててる方の手首を掴んできた。


「ほら。普通もう少し下じゃねぇか」
「………はゎッ、」


そのままズルっと拳を下ろされ、思わず声が出た。すると兵長は落としていた視線を上げて片眉を吊り上げる。


「あ?」
「……っあ、……いや、すみません、」
「何だよ」
「や……あの……多分、あれですかね。む……むね、が、」
「は?」
「えっと……胸が、大きいので……多分やりにくくて……無意識に少し上の方で敬礼しちゃってるのかもしれません」
「………、」
「……おそらく」
「………あ、……あ ぁ……。」


拳をずらされたことによって気づいたことを正直に口に出せば、兵長は言葉を詰まらせた。

ふたりしか居ない部屋に突如沈黙が訪れる。


どうしよう。


「なんか……すみません」
「……いや、こっちこそ……すまん、」
「あ、いえ……」
「………。」


兵長は気まずそうに掴んでいた手をすっと引いて一歩離れると目を逸らした。


「……」
「……」
「……こ、紅茶でも、飲むか?」
「あ、……はい、じゃあ……」
「…ああ。なら、淹れて来る。」
「え、あ、私が淹れますよ、」
「いや、いい。俺が淹れる。お前は座って待ってろ」
「あ、はい……すみません、お願いします」
「……ああ、」


指示するように人差し指を下に向けて待ってろと言って、バタンと一度部屋を出て行った。


「………。」


な、なんか、変な空気になってしまった……。(恥ずい)


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