「子供の頃ってさ、ケガしたりすると『痛いの飛んでけ』ってやってもらわなかった?」
「………。何だ、そりゃ」
「知らない?」
「知らねぇ。」
「…そっか……。でもまぁ私はね、よくしてもらってたんだ」
「…ほう」
「そう言いながら痛いところをさするとよりいいみたい。まぁもちろん気分的な問題が大きいんだろうけどね。でも、そうしてもらうとなんだか本当に痛いのが軽くなってるような気がしてくるの」
「……。」
「だからさ、リヴァイ」



あなたの、心の痛みや苦しみ。



「痛いの痛いの、飛んでけ」



少しでも軽くなればいいな。




「…飛んでった?」
「……。」



彼の左胸をさすりながらそう言えば、リヴァイは次第に眉を下げる。それから視線を落とすと私の手を握り、そしてその甲に唇をそっと寄せた。




「…少しだけ、な」




それは痛くなくなるおまじない。


せめて、あなたの痛みが少しずつでも和らいでいきますように。


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