ナマエの家にはいつも花が飾られている。

それは俺が行く度に変わっていて、それでも「この前とは違う花になっている」とそれくらいで特に気にはしていなかった。だが、変わっていく花を見ていると日に日に少しずつ興味が湧いてきた。


初めて、自分で花言葉を調べた。


ナマエに告白して以来気にしていなかった花言葉。家に飾ってあった花を思い出しながら、本に描いてある絵と比べその花の名前を知り、そして花言葉を知る。

あいつがいつも飾っていた花は「幸運を祈る」とか「希望」だとか。そういうのばかりだった。

ナマエのひた向きで前向きな想いがその花達から伝わってきて、胸が温かくなるのを感じた。






そして今日もまた、新しく花が飾られている。


「……、」


ナマエが紅茶を用意している間頬杖をつきながらその紫色の花を見つめ、思い出す。

(ああ、あれは確か、アネモネ、だ)



「リヴァイ?どうしたの?」


ボーッとしている俺の様子に気づきナマエは目の前にカップを置きながら首を傾げる。


「…… いや…」


がたりと向かいに腰を下ろし、俺はそのまま花を見ながら口を開く。


「…愛されてるなぁ、と」
「……え?」
「ただ、そう思っただけだ」


それからゆっくりとカップに視線を落とし、それに触れる。


「……っふは 、え…なに?もしかして私の知らないうちに想いが溢れ出てた?」
「そうだな……家中から、感じるな」
「…そんなに?それは、照れるわね」



ナマエが淹れてくれた温かい紅茶は、よりいっそう俺の心を温めていった。


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