「おかしい……」 「……」 「絶対におかしい……」 「……。」 私は難しい顔をして考える。リヴァイ先輩の隣を歩きながら。 「うーーーん」 「……」 「………先輩、私、やっぱりおかしいと思うんですよね。」 「……あぁ…俺も、お前の頭はおかしいと思っている」 「そうなんですよ……私のあたま……ってちがーーーう!」 「ウゼェ」 「そうじゃなくて!リヴァイ先輩と私の関係がですよ!!」 「…あ?」 私が叫ぶと先輩は顔を顰める。 「そろそろリヴァイ先輩は、私にデレてもいいと思うんです!!」 「あ?」 「こういうのは最初はうざったいと思っていても途中から少しずつ心変わりしていくものでしょう!?」 「は?」 「コイツ思ってたより可愛いとこあるじゃねぇか……ドキドキ。……みたいなね!?」 「……何言ってんだ?」 「私の真っ直ぐな想いに心打たれたりとか!!」 「……」 「一緒に居るとなんだかんだ居心地いいなとか!!」 「……」 「アイツが居ないとやけに静かだな……とかさあ!!」 「……」 「そういうのをそろそろ思い始めてもいい頃でしょう!?」 「……」 「ってリヴァイ先輩聞いてます!?」 「………あ?何だ、お前俺に話しかけてたのか?」 「ずっとッッ!!ずっと先輩に話しかけてましたッッ!!」 「あまりにも言っていることの意味が分からなかったから他の奴に話しかけてるのかと思った」 「今・ここ・二人きり!!」 「うるせぇな」 ──そう。 そろそろリヴァイ先輩は、マジで、私に少しくらいはデレてもいいと思うのです。 切実に。 「そうか……まぁ確かにお前と出会ってから……もう………三週間…くらいか…?」 「みじかッ!!!何それ余裕でもっと経ってますよ!?」 「あ?そんなわけねぇだろ」 「いやいやいや!?えっなにっリヴァイ先輩の中で私との時間ってそれっぽっち!?体感それくらい!?」 「そうだな(しみじみ)」 「いやしみじみしないでっ!!」 …やっぱり、おかしいよ。 なぜリヴァイ先輩はこんなにもデレてくれないのだろうか。それはそれで今まであまり気にしてなかったけど、さすがにそろそろデレ頃だと私は思う。切に思う。 「塩対応も、加減してもらわないと塩分取りすぎで血圧上がってしまいます」 「知るかよ」 「さすがの私もめげます」 「さっさとめげ失せろ」 「クラスの子に『ナマエは常に陽気なヒップホッパーみたいだね』と言われるくらいの私でもそろそろヘコみますよ?」 「お前クラスの連中からそんな目で見られてるのか……側に居たくない」 デレてほしいのに、むしろ眉根を寄せるリヴァイ先輩。 「どうすればリヴァイ先輩は私にメロメロになってくれるんですか?」 「そんな予定は今後一切ない。」 「じゃあどんな人がタイプなのですか?」 「少なくともお前でないことは確かだ。」 「私努力します。先輩好みの女子になれるように」 「今のままでいいから俺の前から居なくなってくれ」 「え?今のままの私が好き?いやん!」 「耳鼻科に行けこのやろ」 はしゃぐ私を見てリヴァイ先輩は深くため息を吐いた。 「…お前は、どうしてここまで言われて諦めない?」 「…それはですねリヴァイ先輩……。私の座右の銘が、『ネバーギブアップ』だからです。」 「迷惑な座右の銘だな…」 「好きな四字熟語を聞かれても『ネバーギブアップ』と答えるほどです」 「そこは四字熟語を答えろよ」 「それと、」 「あぁ?」 「リヴァイ先輩のことが、好きだからです」 「………」 「好きなんです。」 「……… だから、何で」 「え?そんな、好きなのに理由なんていりますか!?そんなのただ“好きだから”ですよ!!」 「……。」 「…あれ?もしかして今私、ちょっと良い事…」 「言ってねえよ。」 「マジかー!」 「いちいちうざってぇな」 「でもそのうざったさがクセになってきてたり?」 「するかボケ。」 「しないのかー!でもまぁいいです。逆に私の方がリヴァイ先輩のその態度がクセになってきつつあるので。」 「地獄かよ……。」 「これぞ相手に合わせるタイプの愛!」 「お前全然めげてねぇじゃねーか」 「そうですね!あはは!」 「あははじゃねえよ………それより早く弁当寄こせ。」 「あっ はい、どうぞ!」 話をしているといつもの階段に着き、リヴァイ先輩は腰を下ろす。お弁当を渡し私もその隣に座った。 「今日は筑前煮です!どうですか?」 「………。うまい」 「わあ、よかったー!えへへ」 「…本当、弁当だけは普通にうまい。」 「やった!ということは……(お弁当がおいしい→毎日食べたい→毎日俺のみそ汁を作ってくれ→)なるほど結婚ですね!」 「今すぐ脳外科へ行け。」 恋するナマエちゃんメモ。 座右の銘:ネバーギブアップ 好きな四字熟語:ネバーギブアップ 目標:リヴァイ先輩と付き合う 今のところ胃袋を掴むのには成功している模様。 |