「こんにちは!リヴァイ先輩!今日も愛妻弁当を持って来たわよダーリン!」
「鳩尾を殴ってもいいか?」
「痕が残らない程度でしたらオーケイですよ!」
「いや受け入れんのかよウゼェ」


お昼休み、リヴァイ先輩のクラスまで来た。もちろんお弁当を渡す為とお昼を一緒に食べる為に。すると先輩は私の手からひょいとお弁当を取り歩き出した。


「あの、先輩?」
「話しかけるな。知り合いだと思われるだろうが」
「え!私たち知り合いですらなかったんですか!?だとしたらむしろなぜお弁当をこうも毎日受け取ってくれているのかが不可解!謎は迷宮入り!」


私のペースに合わすことなくスタスタと足早に歩く先輩の隣で、その横顔を見つめながらセカセカと足を動かす私。


「…何だよ。」
「あ、はい!あのですね、どうしていつも開かずの屋上へと繋がるあまり使われていない階段でランチタイムを過ごすのですか?」
「……。」


階段に座り込み、私達はそこでお弁当を食べている。もっとこう……中庭とか食堂とかいろいろあるのにも関わらず。しかもリヴァイ先輩は管轄外のそこの掃除をしてまで、その場所を選んでいるのだ。


「…ここなら、誰も来ないだろ」
「……え?」


その階段に腰を下ろし、先輩はそう言った。周りには誰も居ない。いわゆる二人っきり。


「………せ、せん、ぱ、い……、」


私はドキドキと胸を高鳴らせて先輩を見つめる。

二人の視線が、ゆっくりと交わっていく。


「お前と居るところを誰かに見られでもしたら恥ずかしさで死ねるだろ。」
「うわおッ!その言葉を聞いて私の方が死ねるナウです!」
「ていうかお前も突っ立ってねぇでさっさと食えよ。」
「あっはい!直ちに座ります!」
「…………近ぇ。離れろ」
「え!?何て言ったんですか!?聞こえません!!もっと近づいた方がいいのかも!!」
「すでにお前との距離はこれ以上詰められないくらいに近いわけだが」
「えへへ、先輩もドキドキしてますか?」
「イライラなら相当してるな………離れろ、鬱陶しい。」


先輩はこれでもかってくらいに眉根を寄せ、睨みつけてくる。正直その顔が素敵すぎていくらでも見ていられる(ていうか目に焼き付けておきたいし嘗め回すようにずっと見ていたい)のだがこれ以上いくと本気で怒られそうなので、大人しく離れておくことにした。

すると先輩はお弁当箱のふたを開けてそれを食べ始める。──ああ今日もリヴァイ先輩が私の作った愛妻弁当を食べてくれるなんて、なんて素晴らしい人生なのだろう。我が生涯にいっぺんの悔いなしとはこの事だろうか?私は今もし宇宙人が攻めてきて殺されそうになったとしても悔いはないだろう。だってこうしてリヴァイ先輩と一緒にランチタイムを過ごすことが出来ているのだから。あでもやっぱり死んじゃったらリヴァイ先輩と結婚できなくなるしそれは困るかもしれない。今は今でこれで十分幸せだけれどこれから先もっともっとイイコトが待っているかもしれないじゃないか。リヴァイ先輩と結婚するとかそういう。そういうことが起きるかもしれない。というか起きるはずだ。だから今ここで一生を終えるわけにはいかない。そうだ、我が生涯はまだ終えられないではないか。ゴメン、宇宙人さん。地球侵略計画はもう少し引き伸ばす方向でどうかお願いします。



「………オイ、気持ち悪ぃ面でじっと見てねぇでてめぇも早く食えよ。」
「えへへへ……いえ、私は今お弁当を食べてもらえている嬉しさで食事も喉を通らない状態なのでお気になさらず!」
「気になってねぇよ。視線がうざってぇんだよ。」
「そうですか?」


そういうわけなら私も食べることにする。ぱかりとふたを開けた。


「しかも、何だよ……このしっかりと栄養の考えられたちゃんとした弁当は。毎度のことながら本当にお前が作ってるのか?普通にうめぇわ」
「え、わーい!ありがとうございます!お礼はリヴァイ先輩からのハグ三回でいいですよ!」
「何で俺がお前に礼をしなくちゃなんねぇんだよ。むしろこんなもん毎日押し付けやがってこっちが礼をもらいたいくらいだ。(もぐもぐもぐ)」
「そのわりにいつもきれいに完食してくれるリヴァイ先輩!」
「当然だ、弁当に罪はない。」
「あはは、本当はデコ弁でリヴァイ(はーと)っていう感じの作りたかったんですけど、投げ付けられそうだったのでグッとこらえて普通に作ってます!」
「それは賢明な判断だな。お前にしては珍しい。」
「えっへへ!ご褒美はリヴァイ先輩からのハグ五回でいいですよ!」
「しれっと回数増やしてんじゃねぇよ」
「ダメですか?」
「関節技なら極めてやる」
「リヴァイ先輩と密着できるならそれもなおよし!」
「よくねーよウゼェ」


私は自分のお弁当を食べながらもその視線はリヴァイ先輩へと向け続ける。先輩の目線は全くこちらには向かないけれど。でも横顔まで素敵な先輩なので別に問題はなかったりするのである。


「……リヴァイ先輩、」
「…あ?」
「好きです」
「…………」


想いを伝えてじぃっと見続けても、リヴァイ先輩は動きを止めたり鈍らせることは少しもない。普通はちょっとたじろいだりとかするものだと思うのよね。でも先輩はしない。全くしないのだ。でも好きだからいい。別にいい。


「…えっとですね、どんなところが好きかというとー」
「聞いてねぇよ。黙って食え」


むしろそこがイイ。


「あ、そうだ式の日取りはどうしますか?」
「舌引っこ抜くぞ」
「このかぼちゃおいしー!」
「………。」


舌を引っこ抜かれるのはまぁまぁ嫌なので、式の話は当分やめておこう!


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