どうしてこんなにも好きなのに、この想いは届かないのだろう。こんなにも欲しているというのに。なぜそれが叶わない。私は誰よりも兵長を想っているのに。誰にも負ける気はしないのに。

こんなにも、こんなにも体中が叫んでいるのに。

兵長が私に触れるだけで幸せになれる。それだけでもう何もいらないのに。

それだけがあればいい。兵長が私に触れてくれさえすれば、耳元で甘い言葉を囁いてくれたら、それだけで私は。




「なのにっ……どうして兵長は、何もしてくれないんですか……っ!」


私は兵長の目の前で、涙を浮かべながら主張する。


「……俺だって、お前が好きだ。お前が欲しい。」


なのに兵長は私の欲しい言葉をくれない。



「だったら……!だったら全力で罵って下さいよぉ…っ!!兵長のその切れ長の目は何の為にあるんですか!?私をゴミのように見る為じゃないんですか!?そして罵って下さい!!それから踏んづけて下さい!!!それだけで私は幸せになれるというのにぃいい……っ!!」
「…出来れば俺は普通にお前を幸せにしてやりたいんだが。」
「だからッ!それじゃあ物足りないんですよお!!!」
「……。普通にお前に触れて、キスをして、普通に好きだと言うだけじゃ物足りねぇのか」
「物足りなさ過ぎィ!!!もっと激しいのが!!!いいです!!!」
「普通に抱き締めちゃ駄目か」
「駄目です!!!抱き締めるより首を絞めて下さい!!」
「 うわ……(引く)」
「はっ……?! ふあぁぁあ…!そ、そうです……!!それです兵長……!!その目です!!それもっと下さい!!」
「これがいいのか」
「はい!!!そうです!!!」
「……」
「兵長は元々S気質でしょう!?それをもっとこじらせましょう!」
「お前はこじらせすぎだ。」
「ふへへへ!!」
「……くそ。なぜだ。なぜ俺の普通の想いがこいつには届かねぇ。」
「私もマジもどかしいです!!こんなにも好きなのに!!どうしたらいいんでしょう!?」
「………試しにケツでも蹴ってみるか」
「えマジで!!!??!?」
「俺もそっちに目覚めるかもしれん。」
「ふぎゃああバッチこいです!!!!」
「ちょっとこっちにケツ向けろ」
「ふぁい!!!!!」
「よし。……………… 、」
「焦らすタイプ!?焦らしプレイ!!?ふひっ」
「…………やっぱ駄目だ。」
「はい!!?!??!?」
「そのラインは超えるなと、俺の中にある人の心がそう言っている。悪い」
「何それヒドイイイイイうわあああああん期待させておいてええええ!!!」
「……すまん。優しく抱き締めてキスをしたら機嫌を直してくれるか?」
「お尻を蹴って『このゴミカスが』って言ってくれたら嬉しいです!!!」
「…お前とはどうしても分かり合えない……。」
「だけど兵長!!!」
「何だ…」
「大好きですっ!!!!」
「……ああ、俺も好きだ。だから困る」
「どうにか解決策を練りましょう!!」
「……そうだな。」
「じゃあとりあえず手錠を用意してきますね!」
「オイ何に使わせる気だ。やめろ」


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