「パパはぁー外ォ!ママはーー、こっちぃ!ええーい!パパは出てけー!ちかよるなー!リーベの豆をくらえー!うおりゃー!」 「……。」 「出てけ出てけー!パパは外いけー!」 「……」 「このやろー!パパなんかこうだッ!こうしてやるんだ!うりゃっ!果てろ!」 「………いや、いやいや。待て。ちょっと待て。」 「あっちいけー!どっかいけー!パパはこの寒空の下ひとりで過ごせー!」 「いや待て待て!何だどういう状況だ、一体何だこの行事は!」 「……え?なにが?」 「キョトンとするんじゃない。何なんだ?節分ってこんなに精神的苦痛を味わうものだったか?」 「違うと思う。……リーベ、追い出すのは鬼さんでしょ?何でパパを外〜しちゃうの?」 「え?だって、ママ!こいつは鬼のカワをかぶったパパだよ!?なんでか分からないけどリーベたちを捕食しようとしているんだよ!だからやっつけないと!」 「捕食って」 「鬼のふりしてリーベたちを落としいれようとしてるんだよパパは!そうでしょ!?」 「いや……違うんだが……」 「だったらどうして鬼のお面をかぶってるの!?」 「どうしてって節分はそういうイベントだろうが。そこまで深く考えちゃいねぇよパパは」 「そうなの?」 「そうだよ、リーベ。別にパパは今日が節分だからとりあえず鬼のお面をつけてリーベと戯れようとしてただけなんだよ。」 「はたして本当にそうでしょうか」 「……ん?」 「そんなこと言って……本当にパパが鬼に心をのっとられていないと、そう断言できるのかね!?」 「……いつのまにそんな設定に?」 「ママの目は節穴だからだませても、リーベの目はごまかせないぜ!!」 「何気に私もディスられてるし…」 「お前の中の節分は一体どうなっているんだ?」 「ええーい!くらえー!!リーベプレゼンッツスーパービーンズクラッシャーア!!!」 「プレゼンツ………。ってオイ、豆をそんなあちこちにばら撒くんじゃねぇ。掃除が大変だろうが」 「なにっ……!?リーベプレゼンツスーパービーンズクラッシャーが…きかない……だと……!?」 「……。」 「……。」 「くッ……!こうなったら奥の手をだすしかないようだな!いくぞ、パパ!」 「……あ…ああ、いつでもこい。」 「必ッ殺!スクリューッ!ドライバー!!!」 「いやスクリュードライバーは技名じゃない」 「…ていうか豆を投げ付けすぎだよ…リーベ」 「うおりゃーー!!!アクリョウタイサンッッ!!」 「(異様にテンションたけぇな…)」 「あの、リーベ。もう分かった。鬼さんはもうパパの中から出て行ったよ。だからそろそろ、ね?」 「………ええー…本当?本当に出てった?」 「……あ、あぁ……出て行ったな。」 「本当に?」 「ん、出てった。なんだか肩が軽くなった気がする。(お面外す)」 「………そっか。…よかった…」 「あれだね。リーベのスペシャルトロピカルビーンズ?のおかげだね。」 「いやちげぇだろ。何だその女子が好きそうな名前は。そうじゃなくてリーベプレゼンツスーパービーンズクラッシャーだろ。」 「逆に何でリヴァイは覚えてるの?」 「あーよかったよかった。ぶじに鬼は外できてよかったー………っと見せかけて豆ツブしッッ!!」 「!?」 「ちょっ!?リーベ!?こらっ!」 「クッ……!ちくしょう……よけられた……リーベの必殺技の目潰し……通称豆ツブし……」 「何だその危ねぇ技は……しかも豆使ってねぇだろお前……純粋に指で目を狙ってきやがって…」 「くそぅ」 「リーベ、ちょっと、もうやめなさい。しかも目潰しは危ないから。何してんの」 「……え、ダメだった?」 「駄目に決まってるでしょう。他の子にもやってるの?そんなことしてたらママ怒るよ?」 「いや、何を隠そう今日がハツヒロウです。」 「ああそう。じゃあ今のが最後のお披露目ね。もうやっちゃ駄目だからね?分かった?」 「……はーい…。(しょぼん)」 「………。リーベ、なんかやっぱり鬼の奴パパの中から出て行ってなかったみたいなんだが」 「……えっ?まじすか?」 「ああ。だから、もうちょっとだけ戦った方がいいかもしれん」 「えっ?えっ?いいの?……ママ、いいの?」 「……目潰し、しないなら。あとちゃんと豆の片付けが出来るなら。」 「できるできる!お片づけちょうできる!豆ツブしはもう封印したし!」 「ならいいよ」 「うわいっ!」 「……さぁ来い、リーベ。そう簡単に鬼は出てっちゃくれねぇぞ(お面装着)」 「よーおうし!のぞむところだぜ!!」 「ケガしないようにね〜」 「はーい!……よし、いくぞ!パパ!」 「どこからでも来い。」 「ええーい!くらえー!安らかに眠れー!果てろっ!このっこのっ!家から出て行け!パパはもう帰ってくるな!パパなんか鬼は外!(豆投げ付ける)」 「……。」 「ねえリーベ、だから追い出すのはパパじゃなくて鬼でしょ?」 「ハデに爆ぜろッ!」 ◇ やっと終了しました。 「リヴァイ、お疲れ様。リーベ満足そうに寝てる。」 「……そうか…そりゃあ…、何よりだな……。」 「鬼をやるのも一苦労ね。」 「ああ……(精神的に)疲れた。ナマエ、補給させろ」 「ふ……いいよ、おいで」 あれからリヴァイは散々リーベの鬼退治に付き合い、終わったあとは三人で仲良く豆拾いをした。 そしてリーベが寝ると、そのあとは私が散々リヴァイの相手をすることになったのだった。 「ありがとね、鬼さん」 「…違う。俺の中の鬼はもう封印された。」 「なんか厨二病みたい」 「…………くそ、右手が勝手に動きやがる…」 「こらこら、厨二病に託つけて胸を揉まない。」 |