「そういえば来週ハンジの誕生日だな。」
「あ、そうなんだーおめでとう。」
「俺らには特に関係のない話だな。」
「…たまにはお前らも何かプレゼントでもしてみたらどうだ?喜ぶと思うぞ。」
「え、ハンジにプレゼントって…馬券とか、パチンコ玉とかそういうの?」
「いやもっとこう……あるだろう。」
「アイツが喜ぶものなんて他にあるのか?」
「まぁ貰えたら何でも嬉しいと思うが。……確か、それを考えてくれている時間が大事なのだと噂で聞いたことがある。」
「噂かよ。」
「んーまぁハンジとは長い付き合いだし…ちょっと考えてみるかー」
「チッ、仕方ねぇな…」
「ああ、よろしく頼む。」


一週間後。


「そういえばお前ら、何か考えたか?」
「え?なにが?」
「何の話だ」
「いやいや。今日だぞ。ハンジの誕生日は」
「ハンジの誕生日?へえーそうなんだ。おめでとう」
「今日なのか。まぁどうでもいいが」
「いやいやお前ら、何だその初耳ですがみたいな返答の仕方は。」
「そういえばお兄ちゃんじゃがりこの新しい味が出たの知ってる?」
「知らん。今度は何味が出たんだ?」
「オイまだ誕生日の話は終わってないぞ!?」
「……え?そんなことよりも、どんな味が出ても結局じゃがりこはサラダ味が正義っていう話をしようよ」
「しない!今日なんだぞ?ハンジの誕生日は!一週間前にも話したばかりだろう!」
「そうだっけ?でも言われてみればそんな話したような…」
「してないような…」
「いやしただろう!何だお前らその様子だと何も考えてないのか?考える時間が大事だという話もしたのにか」
「あー、完全に忘れてた。でもまぁ去年も何もしてないし、別にいいんじゃない?」
「そうだな。今年あげなかったからといって、今更何も変わるところはない。」
「いやそんなことはないと思うぞ。」
「ちなみにエルヴィンは何をあげるの?」
「…俺か?俺はもちろん金だ。」
「現金かよ」
「てめぇも何も考えてねぇじゃねーか。」
「何言ってる。アイツ金をやると一番喜ぶんだぞ?」
「うん。まぁ想像つくけども。」
「いくらやるつもりだ?」
「まぁ誕生日だからな。5万くらいでいいんじゃないか?」
「いや多いだろ。バカなのか?」
「うん…バカなんだと思う。」
「だって誕生日なんだぞ?」
「さすがのメガネもそれは遠慮するんじゃねぇのか?」
「いや、むしろ向こうから請求された額だ。」
「請求されたのかよ!しかもてめぇはそれに応じるのかよ。」
「あ、じゃあさ、私とお兄ちゃんでハンジへのプレゼント考えるから、そのエルヴィンから貰ったお金でハンジ自身が私達の考えたプレゼントを買いに行くっていうのはどう?」
「待て。一体どういう事だそれは」
「さすがに買いに行くのはめんどくさいからさぁ。だから自分で買いに行かせるの。どっちにしろ私達が買うにしてもエルヴィンからお金貰うんだし、だったらハンジがエルヴィンから貰ったお金で買っても同じことでしょ?」
「それはいろいろとおかしいし、それならもういっそ何もしなくていいと思うぞ。妹よ」
「そう?じゃあもういっか。」
「……。まぁもう何でもいい。そろそろ俺は仕事に行ってくる。」
「あ、いってらっしゃーい」
「そして今日はハンジと会うから帰りは遅くなる。」
「わかったー。」
「アイツは誕生日にまでエルヴィンと会うのか。」





「ハンジ、誕生日おめでとう。これはプレゼントだ。」
「え、わーい!ありがとエルヴィン!現金!?」
「ああ。」
「うわー!ありがとう!嬉しい!」
「これからもよろしくな。」
「うん!…あ、そういえばさっき君のとこのニート兄妹からメールがきたよ。」
「え……なんて?」
「 “あけおめ。ニート兄妹より”……だってさ。」
「それなんか違くないか」
「うん。違うね。…でもまぁ、メールくれただけでも嬉しいけどね。」





「ねぇお兄ちゃん」
「なんだ?」
「やっぱりハンジに何かあげた方がいいのかな?」
「…気になるのか?」
「ちょっとねー。」
「…なら、一緒に買いに行くか?」
「…………でも買いに行くのはやっぱ面倒だから、手軽に似顔絵でも描いて渡す?」
「それが喜ばれるのは小学生までだとお兄ちゃんは思う。」
「そっか。じゃあやっぱやめよう。」
「了解した。」


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