「リヴァイへーいちょー」


ドアをノックして名前を呼ぶと、少し間があってからそれは開いた。


「……何だ」


そして見えたリヴァイの顔は、やっぱり少しつまらなそうな顔をしていて。


「…ふは、お邪魔しまーす。」
「……。」


勝手に中へ入ると、リヴァイは何も言わずにぱたんとドアを閉めた。


「仕事中?」
「お前は弟の顔を見に来たんじゃねぇのか」
「…そうだよ?そうだったけど、なんか大丈夫そうだったから」
「…何だそりゃ。」


ゆっくりと私の方へ近づいてくるリヴァイに、そうだ。と呟く。


「エレンから伝言。」
「あ?」
「…兵長には負けません、だって。」
「……。」


勝ち負けじゃないのにね、とそう付け加えるとリヴァイはそのまま私に手を伸ばしてきて、頬を包み込むとキスをしてきた。
素直に私も目を閉じていきなりのそれを受け入れる。そして唇が離れると目が合い、私は表情を緩める。


「俺だって負ける気は更々ない。」
「……だから、勝ち負けじゃないって」
「だがてめぇはあのクソガキが一番大事なんだろうが」
「そうだよ?」
「……負けてるじゃねぇか。」
「ふは、それは違うよ。私はリヴァイのことだってちゃんと愛してるよ」
「…エレンの次に、だろ」
「……でもさ、血の繋がりなんかがなくたってこんなに人を愛せるなんて、それはそれで素敵なことじゃない?」


そう言うと、そのまま黙ったあとにリヴァイは少しだけ表情を和らげ、それからまた唇が重なる。


「……なら、どれくらい俺のことを愛してるのか味あわせろ。」


そして服の中に手を入れてきたので、その手を掴んで息を吸い込んだ。


「ちょっと!エレンが同じ建物の中に居るのにそんなことするわけないでしょ!?」
「………。」


するとリヴァイは動きを止め心底つまらなそうな顔をして、黙る。

そして納得したのか舌打ちをすると私から離れてイスへと座った。


「てめぇは地下室へ帰れ。」
「……何でよ。せっかく久しぶりに二人っきりなのに?」
「それはこっちのセリフだ。」
「…だから、それは無理。もし最中にエレンが来たらどうするの?」
「来ねぇだろ。」
「分からないじゃない。この前だってキスしてるとこ見られちゃったわけだし。」
「知るか。見せつけてやればいい。」
「バカなの?」


何を言ってるんだこの人はと、そう思いながらもその背中に近づき首に腕を回して、抱き着く。


「…でもね、最近リヴァイがちゃんとエレンと仲良くしようとしてくれてるの、知ってるよ。」
「……。」
「ありがとね。」
「……なら、ヤらせろ。」
「それは無理」
「クソが。」


それはキッパリと断り、だけど後ろからそのまま頬へキスをすれば、顔がこっちへと向いて、また唇が触れ合った。


「……もうキスだけで満足できるような歳じゃねぇぞ。」
「知ってる。でも我慢してね。」


エレンが作ってくれた時間の中で、私とリヴァイは何度もしつこいくらいにキスを繰り返した。

こうして私は可愛い弟のおかげで大切な人と幸せな時間を過ごすことが出来たのだった。


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