「ハンジって、エルヴィンから総額いくら借りてるの?」 「え?総額?………いくらだっけ?」 「さぁな。いちいち覚えてない。」 「お前ら、それでいいのか?」 今日はハンジが家に飲みにきた。エルヴィンも帰ってきていて、二人で仲良く飲んでいる。私とお兄ちゃんは飲んでないけど会話に参加している。 「ハンジには返そうという気がないの?」 「いやないって事は……、………。」 「黙っちゃったよ。」 「てめぇが甘やかしすぎなんじゃねぇのか」 「そうかもな。だがまぁハンジだし別に」 「そう!私とエルヴィンの仲だもんねー!」 「何なの?二人はゆくゆく結婚でもするの?」 「あーそれもいいね。エルヴィンの金使い放題とか最高」 「金目当てかよ。」 「でもそうなるとお前らハンジの事をママと呼ばないといけない事になるな。」 「いやならねぇだろ。気持ち悪ぃ。」 「そもそもエルヴィンの事もパパって呼んでないしー」 「それだ。たまにはパパって呼んでみないか?」 「え、やだ」 「ぶはっ、エルヴィン呼んで欲しいの?!」 「若干。」 「いいじゃん!ナマエ、呼んであげなよ」 「え〜やだ〜」 「何でよいいじゃんか」 「だってエルヴィン本物のパパじゃないし。」 「そんな真顔で………」 「そうだ。そんなふうに呼ぶ必要はねぇ。」 「リヴァイまで。……ていうかさ、前から思ってたんだけど…」 「ん?どうした」 「君らって、本物のパパじゃないとか…そういうの、わりとふっつーにいつも口にしてるけどさ、聞いてるこっちからしたらちょっとドキっとしちゃうんだけど。本物じゃないとか言われると。やめてくんない?」 「え?なんで?だって私達って見せ掛けの家族だし。」 「おいいいいいっ!そんな言い方するなよ!?」 「そうだぞナマエ。そんな言い方…」 「おぉリヴァイ!兄としてちゃんと妹に言ってやってよ!」 「見せ掛けというより、ただの偽物だ。」 「馬鹿野郎ッ!あんたらエルヴィンに育ててもらったのによくそんな事が言えるな?!」 「いや…ハンジ、いいんだ。この子らは冗談で言っているだけだから。」 「でもそれにしても……っていうかあんた涙目じゃねーか!」 「はは、泣いてなんか」 「泣かないでエルヴィンおじさん。」 「コラそこ!急によそよそしい呼び方しない!」 「泣くな、エルヴィン。偽物なのは事実だろうが。」 「ちょっ辛辣すぎるだろ!」 「まぁ確かにな。」 「納得しちゃったよ!マジでか!」 「ハンジは気にしすぎだよ。そんな事気にする暇があったら、地球はなぜ誕生したのかについて考えなよ。」 「果てしないな。何でそんなドライなの?」 「そんな事ないだろ。」 「いやドライすぎるよ。君らは確かに血は繋がってないかもしれないけど、家族だろ?育ててくれたエルヴィンは父親みたいなものじゃないか!」 「ハンジ、それは違うよ」 「いや何でそんな頑なんだよ。」 「だって、実際エルヴィンは私達のお父さんじゃないじゃん。育ててくれたけど、お父さんじゃない。エルヴィンには感謝してるけどそれは父親と思ってるからじゃなくて、父親じゃないのに育ててくれたから感謝してるの。だからエルヴィンはお父さんにはなれないよ?だって違うんだもん。」 「…うわ…え…なんか…言いたい事は分かるような、分からないような……。」 「ドゥーユーアンダスタン?」 「ナマエ良い事言ったような気がする。よし、お小遣いをやろう。」 「え、いらなーい。この前もらったし」 「お前は何でそうナマエにすぐ小遣いをあげようとするんだ?」 「え?だって金をあげていれば好いてもらえるだろ?」 「考え方ゲスかよ。」 「あ、じゃあナマエがいらないならその分私が貰っていい?」 「てめぇはクズかよ。」 感謝の気持ちは本物なのだ。 |