「帰ったぞー」

「…あ、エルヴィンおかえりー」
「…早かったな。」
「ハンジが観たいテレビがあると言い出してな。早めに切り上げた。」
「ガキかよ。」
「ハンジのテレビには録画機能がついてないの?」


夜、エルヴィンが帰ってきた。こう見えても私達の育ての親だ。


「いやこう見えてもってどういう意味」
「さぁ。」
「そういえばナマエがエルヴィンに何かプレゼントあげたいとか言っていたぞ。」
「あ、ちょ、何で言っちゃうのー?面倒だからやっぱやめようと思ってたのにー」
「プレゼント?どうしてまた?」
「いやー、えっと……何でだっけ?」
「日頃の感謝とかそういう感じじゃなかったか」
「あ、そうそうー。でも、それを買うお金がないし諦めた。」
「そうか。…しかし、日頃の感謝か……お前らそういう感情あったんだな。ちょっとびっくり。」
「諦めた事に対してももっと何か思った方がいい。」
「それにエルヴィンって何が欲しいのかとかも分からないしー」
「そうだな。欲しいと思ったものは思いついた時にすぐ手に入れるからな。」
「さすが金持ちだね。」
「強いて言うなら権力とかそういうものになってしまう。」
「嫌な奴だな。」
「じゃあ無理だねー」
「でもそんな事考えてくれたとかちょっと嬉しいから、今日は三人で風呂に入ろう!」
「何がどうなってそうなった?」
「それはさすがに嫌だわー」
「なぜだ?親子みたいなもんなんだからいいだろう。」
「でも義理だし。私もうハタチだし。血も繋がってないのに一緒にお風呂とかそれもうただの犯罪だからね。」
「俺の大事な妹の発育した姿は誰にも見せねぇぞ。」
「そうか。それは残念だな。」
「オイてめぇ今なんて」
「じゃあ普通に一人で風呂に入ってくる。」
「いってらっしゃーい」





「ナマエ、ちゃんと髪乾かしなさい。」
「やだめんどくさーい」
「そうだぞナマエ。キューティクルの為にも早く乾かせ。」
「何でお兄ちゃんがキューティクルとか言うの?」


普通に一人一人順番にお風呂に入り、私が最後に出てきた。そのままソファでゴロゴロしているとエルヴィンとお兄ちゃんに髪を乾かせと言われる。


「別に出かける予定とか何もないしこのままでいいよ。キレイに乾かさなくても」
「仕方ないな、俺が乾かしてやろう。ナマエちょっとこっち来なさい。」
「えー」
「待て、なら俺が乾かす。」
「えー」
「何だリヴァイ。いきなりしゃしゃり出てきて」
「ナマエのキューティクルは俺が守る。」
「いいや、ここは黙って俺に任せるんだ。娘の髪を乾かすのは親の役目だ。」
「てめぇの娘じゃねぇだろうが。」
「そうだけど。」
「ていうか乾かさなくていいからー」
「分かった。ナマエ、金やるから。お小遣いやるから乾かさせるんだ。」
「え、マジ?」
「何プレイだよ。気持ち悪ぃ。」
「お小遣いくれるならいいよー」
「マジかよ。いいのかよ。」
「ふっ…俺の勝ちだな、リヴァイ。」
「…クソ…こんな時対抗できる何かが俺にもあれば…。金も何もねぇ。」
「お兄ちゃん、落ち込まないで。」
「リヴァイ、いいか?世の中金なんだよ。」
「容赦なく追い討ちかけてきやがる」
「金さえあれば何でも手に入る。」
「ゲスだなー」


そんなこんなで私達家族は、今日も仲良しなのでした。


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