天気が良い昼下がり。こんな太陽が眩しい日は、家に引きこもるに限る。


「リヴァイお兄様」
「何だ妹よ」
「じゃがりこが食べたいでござる。」
「…お前は本当そういう時しかお兄様呼びしねぇよな。」
「取ってきて下さいお願いします」
「めんどくせぇ自分で行け」
「そこの袋に入ってるからぁ」
「それかよ。お前から1メートルも離れてねぇじゃねぇか」
「今この体勢がベストポジションなの。1ミリも動きたくない。」
「動けよ。すぐそこだよ。」
「むりー動けない動けなーい」
「ムカつくな…」
「動けない、動かない、ついでに働きたくもなーい!」
「このクズめ。」
「それはお兄ちゃんには言われたくない。」
「バカ言え。俺はお前と違ってちゃんと働いた事あるんだぞ。」
「でもことごとくクビにされたじゃん。しかもただのバイトだし。まぁお兄ちゃんには接客は無理だよねー目つき悪いし言葉遣いも悪いし。」
「うるせぇ」
「想像できるなー。お兄ちゃんが先輩とか客にキレてるとこ。容易いよ。」
「じゃがりこ取ってやらねぇぞ。」
「でもまぁそんなお兄様もかっこいいんですがね。」
「ったく…。」


リヴァイお兄様は読んでいた漫画を閉じて体を起こし、袋からじゃがりこを取り出しこっちに投げた。お礼を言ってそれを開ける。


「うめぇ」
「こぼすなよ。」
「うん」
「俺にも少し食わせろ。」
「は?やだし」
「オイてめぇ」
「誰がお前などにやるか!」
「何だその無駄に反抗的な態度は。誰が取ってやったと思ってんだ」
「知らなーい。このじゃがりこは誰にもやらない。私だけのものだ!」
「誰が買ってやったと思ってんだ?」
「エルヴィン。」
「そうだった」
「これは私がエルヴィンに買ってきて下さいと土下座までして手に入れた代物だ。」
「マジか?土下座しねぇとじゃがりこ買ってきてもらえねぇのかよ。エルヴィン最低だな。」
「そういえばあの人今日ハンジと飲みに行くとか言ってなかったっけ」
「あぁ…そうだったな。」
「またハンジはエルヴィンにたかってー」
「アイツはそういう奴だから仕方ない。」
「エルヴィンもハンジには甘いからねー」
「ガキの頃からほっとけない存在だったとか言ってたな。」
「でもエルヴィンみたいな金づる…じゃなくて幼馴染みが居たらいいよね。」
「今金づるって言ったよな」
「まぁ私達もこうしてエルヴィンに面倒みてもらってるわけなんだけど。」
「ラッキーだったな。アイツのおかげで俺らはこうして平日にダラダラし放題だ。」
「だよねー感謝とかしといた方がいいのかなー何かプレゼントでもあげる?」
「それを買う金は一体どこから」
「もちろんエルヴィンから貰う。」
「意味ねぇ。」
「でもこういうのは気持ちじゃん?」
「それはちょっと違う気が」
「あ…じゃあケニーにたかってみる?」
「ケニーに?無理だろ。あの野郎が金をくれるわけがねぇ。」
「まーそうだよねー…」
「大体いつ顔出すかも分からねぇような奴だぞ。」
「連絡しても来てくれなさそうだしねー。薄情な叔父さんだよほんと。」


ケニーはお母さんが死んで他に身寄りもなかった私達を施設に預けた実の叔父さん。大した稼ぎもないのに子供二人なんて育てられねぇとそんな理由で自分は引き取らなかったらしい。まぁそれから私達は金持ち独身のエルヴィンに引き取られたわけなのだが。


「でもエルヴィン金持ちだし自由にさせてくれるし完全に結果オーライだよね。」
「むしろな。」
「ケニーと暮らしてたら絶対いろいろと大変だったと思うもーん」


そんなケニーともたまに会ったりして普通に関わっている。あの人は適当というか自由というかそんな感じなので施設に預けられたからといって別に恨んだりはしていない。むしろ金持ちと出会えたのでありがとうございます。


「…リヴァイお兄様、」
「…何だ?」
「そんな事より、喉が渇きました。」
「知るかよ。」
「ナマエ炭酸が飲みたーい」
「自分で行け。」
「すぐそこのじゃがりこも取れなかったのに、冷蔵庫まで行くなんて到底無理な話だと思わない?」
「一本もじゃがりこくれなかった妹の言う事なんて聞いてたまるか。」
「えー?もう……仕方ないなぁ……」
「……。」
「じゃあ……じゃがりこの塩がついた私の指なら舐めていいよ。」
「噛み砕くぞてめぇ」


こんなふうにダラダラと、私達は今日も仲良くニート生活を満喫するのだった。


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