「お前、来週誕生日だったな。」
「あ……そういえば、そうですね」
「何が欲しい」
「っえ、…いいですよそんな!」
「いいから言え。」
「え〜………特にないんですけど…」
「じゃあ誕生日までに考えておけ」
「……」
「分かったな」
「……。分かりました…」


当日。


「オイ、何が欲しいか考えたか?」
「……考えたんですけど、難しくて…」
「まだなのか?何でもいいだろうが」
「物というよりも……兵長と居れたらそれでいいです。」
「………」
「…ダメですか?」
「……馬鹿だな。」
「でも、それが一番嬉しいというか…」
「そんなもんプレゼントでも何でもねぇだろ。いつもと変わらねぇじゃねぇか」
「兵長が私の誕生日を気にかけてくれたこと自体がもうプレゼントですよ。忘れないでいてくれたことが嬉しいです」
「…それとプレゼントは別物だ。」
「えー………… あ。」
「何だ、何かあったか」
「ありました!」
「何だ?」
「あのですね、『兵長が私を好きな理由』を知りたいです!」
「………」
「前に聞いた時教えてくれなかったじゃないですか?」
「……気が向いたら教えてやると答えたはずだが」
「そんなこと言って兵長一生気が向かなそうじゃないですか!なので、それをプレゼントにします!」
「…………却下だ。」
「何でですか!?」
「そんなプレゼントがあってたまるか。物にしろ。」
「えー!いいじゃないですかー!何でもいいって言ってたじゃないですか!」
「うるせぇ物にしろ。」
「せっかくの誕生日ですしいいじゃないですか!それが聞けたら私本当に嬉しいです!」
「……………」
「お願いします兵長!」
「……………。」
「そんな嫌そうな顔しないで下さい!」
「…………チッ……」
「お願いします!この通り!」
「………ハァ……。クソっ、…仕方ねぇな……。」
「ぁえっ、いいんですか?」
「…………ああ…。分か……った。」
「そんな苦虫を噛み潰したような顔で……でもありがとうございます!嬉しい!」
「…お前のどこが好きか言えばいいんだな?」
「はい!よろしくお願いします!」
「そうだな…………、」
「(ドキドキ!)」
「…………どこが好きか、な」
「はいっ!」
「……………。」
「(ワクワク)」
「……そうだな……」
「(ウキウキ)」
「…………。」
「……(まだかな?)」
「…まぁ、なんだ………」
「………、」
「…………」
「………へいちょう?」
「…どこ、なんだろうな?」
「えっ?」
「なぜこんなに好きなんだろうな。分からねぇ。」
「……え、分からない!?」
「なんとなくだ。」
「なんとなく!?」
「まぁ、そうだな。なんとなくだ。」
「嘘でしょ!?」
「説明しろと言われても分からん。」
「え、ま、まじですか………(ショック)」
「……」
「…そう…なんですか………」
「………。いや、違う。分かった。ちゃんと、言う。」
「え?」
「……特別だからな。今日だけだぞ。二度と言わねぇからな。」
「え、あ、はい」
「まぁお前が望んでいるような答えじゃねぇかもしれねぇが……」
「…い、いえ……『なんとなく』以外だったら何でも嬉しいと思います」
「……お前、は……」
「(ゴクリ)」
「…俺と出会った頃はただの根暗だったが、接していくうちにだんだんと明るくなり性格も弱さも少しずつ変わっていくお前を見ていると、興味が出てきた。そのうちお前の優しさや馬鹿なところにも惹かれるようになった。…お前が笑顔でいると、俺はそれを嬉しく感じるようになっていった。」
「………」
「よく分かってねぇのは正直事実だが、とにかく側に居てほしいと思ったんだよ。」
「………」
「それにお前はなかなか根性もあるし、何より最初に俺の目に入ってきた時からすでに気に入ってたのかもしれねぇな。」
「………。」
「…まぁ、そんなところ、だ。」
「……」
「これで満足か」
「…ぁ、……は、はい…。ありがとう、ござい…ます、」
「……あ?お前、自分から聞いといて何照れてんだ?」
「ぁう… ほ、ほっといて下さい…。ちょっと……」
「……。」
「ううぅ…(嬉し恥ずかしい……)」
「……しょうがねぇ。もうひとつプレゼントをやる。目をつぶれ。」
「へっ?な、なんですか、」
「…いや……キスだけじゃ足りねぇな。分かった。脱がす。」
「ぬがっ!?」
「初めての夜をプレゼントしてやる。」
「ちょっ兵長!?」
「喜べ、忘れられねぇ誕生日にしてやる。」
「あっ…な、へい、ちょうっ!まっ、ぁ、いやっ……ちょっ…えーーー!?」


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