「兵長、ババ抜きをしましょう!」 「ガキかよ。」 「トランプ持って来たんで!」 「…仕方ねぇな…。」 「じゃあ配りますねー」 ◇ 「悔いが残らない方を自分で選べ。」 「…いや…だから、こっちですってば。離して下さい。」 「本当にそれでいいのか?」 「はい。いいから離して下さい。」 「……」 「もう!兵長、往生際が悪いですよ!」 「…チッ」 ようやく離してくれたカードを見てみると、手持ちのカードと数字が揃って私の勝利が決まった。兵長は不機嫌そうに残ったジョーカーを投げる。ちなみに13回勝負をして、兵長は未だ一勝もしていない。 「もうやめますか」 「いや、勝ち逃げは許さねぇ。」 「だって兵長弱い……。」 「あ?」 「…もういいじゃないですか。」 「ダメだ。勝てるまでやる。」 「夜になっちゃいますよ。」 「朝になったとしても勝つまでやる。」 「まじかよ。じゃあババ抜き以外でやりましょうよ」 「ババ抜きで勝てなきゃ意味ねぇだろうが。」 「でも……なかなかないですよ。こんだけやって勝てないのって…たぶん向いてないんですよ。兵長。」 「向き不向きあるのか?」 「いやないと思いますけど…それにしても弱いんで…」 「……チッ」 「もういいでしょう?片付けちゃっていいですか?」 「いや待て。あと一回。あと一回でいい。最後に一回だけ…」 「子供ですか」 |