「ミケさんにお願いがあるんですが」
「…どうした?」
「あのですね……。(ゴクリ)」





「うわぁ、すごいすごい!」
「……」
「高いです!すごいです!あはは!」
「…そうか。」


前からお願いしたかった事をミケさんに頼んでみると、簡単に引き受けてくれた。喜び、感謝する。


「……てめぇら、何してやがる…?」


だけどそれを凄い顔をしたリヴァイ兵長に見られ、怒られた。直ちにやめろと言われた。

夢破れ、部屋に戻ってからも怒られた。


「肩車とかバカじゃねぇのか?承諾するミケも何なんだ?」
「バ、バカ!?何でですか!バカじゃないですよ夢ですよ!」
「夢…?ミケに肩車される事がか?」
「身長が高い人の目線で歩くことが、です!」
「……。そうか…バカなんだな…。」
「バカじゃないですよー!!だってミケさんってすっごく大きいじゃないですか?だからずっと羨ましいなって思ってて…」
「お前があそこまでバカでかくなったら引くぞ、俺は。」
「いやまぁミケさんは大きすぎですけど…女子としてはなりたくはないですけど…。ていうか初めてミケさん見た時大きすぎて巨人かと思いました…怖かったです……。」
「……。」
「って、そんな事は今どうでもよくて。…私たちって小さいじゃないですか?だから大きい人を見るといいなーってつい思ってしまうというか」
「お前今“たち”って言ったか?俺も含んだか?」
「あ、ごめんなさい…」
「…まぁお前の言いたい事は分かる。分かりたくねぇが、分かる。」
「……。」
「だが二度とあんなバカな事はするな。」
「………はーい…」
「何だその不満そうな顔は。」
「………だって……。楽しかったから…。」


私は小さい。めちゃくちゃ小さい。だから、ミケさんのように大きい人の目線を体験してみたかった。


「…だったら木にでも登れ。大分見晴らしがよくなるだろう。」
「そうじゃなくて!大きい人間の目線で楽しみたいんですよ!兵長も一回やってみたらどうです?見える景色が全然違いますよ!」
「するわけねぇだろ。」
「………あーあ…どうして私はこんなにも小さいんでしょうか……不公平です…。」
「……。」


あと少しでいい。せめてあと5センチでもいいから身長がほしかった。いや欲を言うならあと10センチはほしい。ていうかもういっそハンジさんくらいになってみたい。
兵長にそう言うと、俺よりでかくなるんじゃねぇと眉間にシワを寄せられた。


「私も大きくなりたいー!」
「うるせぇ黙れ。」
「……ひどい…」
「どうしたってもう身長は伸びねぇんだよ。」
「でも嫌なんです!」
「それに俺はお前はその身長のままでいいと思う。」
「な、なんでですか…!私がこんなに嘆いているのにですか…!?」
「ああ。」


兵長は真顔でそう言う。そしてその言葉に膨れていると兵長は私に近づき、いきなりぎゅっと抱き締め私を腕の中に閉じ込めた。


「……え?」
「その方が、こうしやすいだろ。」
「………。」


突然視界が悪くなる。すっぽりと兵長の腕の中へと収まってしまう私。温かい。…………うん、嬉しい。

兵長は普段あまりこういう事をしてこないくせに、ずるい。あぁ、丸め込まれる…と単純な自分がなんとなく悔しくなった。


「これでも嫌だと言うのか?」
「………嫌じゃ、ないです。」


力の抜けていた両手を兵長の背中に回し、私も抱き締め返す。


「だったらチビな事は気にするな。そしてミケにもあんな事は頼むな。」
「……分かりました。ごめんなさい」


これだけで、むしろ小さくて良かったイエーイチビ最高!とか思ってしまうのだから、兵長はすごいと思う。そして私も本当に単純だと思う。


「でも…あれは兵長も一度体験してみるべきですよ?」
「勧めてくんな。」


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -