私はいつも同期の名前を噛んでしまう。もとからよく言葉を噛むのに、同期には呼びにくい名前が三人も居るのだ。困ったものだ。だけど、今日の私はいつもとは違う。言える気がする。言える気がするのだ。 「今日は私、ちゃんと噛まずに三人の名前を言える気がする。だから聞いてくれたまえ。」 三人を集めてふんぞり返りながら言ってやると、顔を合わせる三人。 「……じゃあ、僕(アルミン)の名前は?」 「うむ。」 すうっと息を吸い込む。 「…アルミン・アラルッ……レルト…アルレラ、…ルト…。アラミ……アルミン、アラレッルルトレトルララ、」 「満を持して一人目から噛んでいる!」 「く、くそ!!なぜだ!?」 「全然言えてなかったよ…」 「ご、ごみん……めん。」 「しかも謝罪の言葉まで噛んでるじゃないか…」 「ごめん」 「何なんだよこの茶番は。もう戻っていいか?」 「ダメ!!言わせて!!次こそ大丈夫だから!!」 「本当かよ…。じゃあ次は俺(ジャン)の名前言ってみろ。噛むんじゃねーぞ」 「分かった。」 「よし。」 「……ジャェン・キリルッシュタイン!」 「噛 ん で ん じ ゃ ね ー か !」 「やったー!言えた!今言えたよね!?わーい!言えたー!」 「なんとかごまかそうとしてるけど、わりと噛んでたよ?」 「う、うるさいっ!あんなの噛んだうちに入らないもん!よっしゃこの調子でいくぜ!」 「…じゃ、じゃあ…最後に、僕(ベルトルト)だね。」 「うん、いくよ?…………ベロベロバー!」 「何それ!?あ、あやしてるんじゃないんだから!」 やっぱり無理でした。気がしただけでした。 「くそっ!!むずい!!ベロベ、トルトっ…は群を抜いて難しいんだよ!こんちくしょうが!」 「いや僕に言われても困るというか…」 「もう行こうぜ。」 「あ、うん…」 |