「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「………オイ。」
「 あっ、ちょ、動かないで下さい兵長。そのまま本読んでて下さい。こっち向かないで」
「…気が散る。やめろ。」
「大丈夫ですよ!」
「お前はな。俺は大丈夫じゃねぇんだよ。」
「えー……何でですか…久しぶりの休日をこんなにも自由にお互い過ごせているんだから、とても素晴らしい事じゃないですか?どうぞそのまま読書を続けて下さい。いやほんと。マジで。」
「お前が俺を描くのをやめるのならもちろん引き続き読書に興じる。」
「私だってもちろん兵長を描くのはやめないですよ!」
「やめろよ。落ち着かねぇだろうが。」
「大丈夫ですよ!きっと兵長なら私を気にせず本を読み続けていけるはず!がんばって!こちらはどうぞお構いなく!」
「構うだろ。普通に。」
「いいじゃないですかー!だって兵長を描いたら自分の部屋でもずっと兵長を見ていられるんですよ?ちょーハッピーじゃないですか!兵長とずっと一緒!」
「…お前……。」
「朝のおはようございますから夜のおやすみなさいまでどんな時も兵長に話しかけられるんですよ?最高じゃないですか!」
「…そんなんで満足なのか、てめぇは……。」
「当たり前じゃないですか!それだけで幸せですよ私は!」
「……。」
「だから描かせて下さい!わたし絵は上手いので心配しなくてもちゃんとかっこよく描きますから!ね?いいでしょ?」
「…いや……まぁ、それはいいが……」
「えっほんとですか?やったー!」
「それより……」
「はい?」
「寂しいなら、ちゃんと言えよ?」
「え?そんな、大丈夫ですよ!兵長が忙しいの、分かってますし。」
「…いや…だが…」
「これからは絵の兵長に話しかけれますし!それに実は、兵長お人形も作ろうかなって思ってて。それを抱き締めながら寝たら兵長と寝てるみたいでいいかなって」
「よし、分かった。お前はもっとどんと甘えてこい。寂しい時はちゃんと俺のところに来い。存分に構ってやる。だから人形はやめろ。悲しすぎて胸が苦しくなってきた。」
「え?何でですか?」
「今以上にもっとちゃんと構ってやるから。俺が悪かった。だからそんなこと真顔で言うな。」
「私何かおかしい事言ってますか?」
「おかしいというか切ねぇよ。」
「そうですか?」
「俺の代わりに絵に話しかけて人形を抱き締めながら眠るとか大分切ねぇだろ。」
「そうですかねぇ…」
「そうだ。だからやめろ。絵は未だしも人形は絶対駄目だ。」
「分かりました…。でも絵は描いていいですか?描くの好きなので。」
「ああ、分かった……いや、それよりもっとこっちに来い。久々の休日だ…もっと側で……いや、…むしろ、何なら今からヤるか?もっと直に触れ合うか?」
「な、何言ってんですか兵長…こんな真っ昼間から…どうしたんですか」
「なんかお前が変な方向に突っ走りそうで不安で」
「大丈夫ですよ別に」
「大丈夫なやつは人形を作るとか言わない。」
「それはだって……」
「いや、分かってる。俺とあまり居れなくて寂しかったんだろ?分かった。もう分かったから。」
「…なんか、すみません」
「いや、お前が謝る事じゃない。大丈夫だ。ヤるぞ。」
「だからヤらないですってば!それより絵を描かせて下さいよ!」


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