過去拍手4/12-8/10
(2011.4/12〜2011.8/10)今日も彼女に振り回されて、
1.好きな人いるなら協力してあげる!
(忍足侑士)
2.その人、こんなに想われて幸せだね
(丸井ブン太)
3.それってつまりどういう意味?
(跡部景吾)
4.嫌いになったから避けてるんでしょ
(仁王雅治)
5.好きなら好きってはっきり言ってよ!
のうち4題拝借いたしました。
全て女主になります。
(C)確かに恋だった
1.好きな人いるなら協力してあげる!
忍足侑士
忍足侑士はわたしの一番の友達だった。
よく男女間に友情は存在しないとか言うが、わたしはあると信じていた。
それくらい、仲は良かった。
「俺な、好きな奴おんねん」
忍足に唐突に宣言され、思考が全て止まった。
「へー、そうなんだ、誰?わたしの知ってる人?」
「おー、めっちゃ知っとるわ」
「好きな人いるなら協力してあげる!」
「いらんわ、自分で落とすって決めたんやし。」
「えーケチー」
わたしたちはとても近くにいたのに、そんな事全然知らなくてショックだった。
教えてくれなかったからかなぁ?
「じゃあ協力して欲しくなったらいいなよー。このわたしが協力してあげるんだから百人力!」
「頼もしいわー」
「何でそんな棒読みなの!」
「いやー、めっちゃ感謝しとるで」
「ムカつくわコイツー…それにしても、忍足に好きな人…ねぇ」
「何やねん」
「何か意外。いっつもバカやってるイメージしか無かったからさ」
「失礼やな自分」
「ううん、素直に応援してますぅ、頑張ってね」
「おー、なかなか強敵やねん。なぁ、俺ってそんな恋愛対象にならへんの?」
「え、そりゃわたしはならないから安心していいよ、一般的に見たらまぁいいんじゃないですか」
「…そうなん?」
何その複雑な顔。
もっと自信持てばいいのに。
「まぁ、さ、わたし達そういうのじゃないじゃん。友達じゃん」
「そうやん…な、手ごわいわ。」
「うん、がんばって!」
わたしはニコニコ笑っていたのに、眉間にしわがよりまくりの忍足はため息をついた。
んー、恋する男の子は難しいね!
2.その人、こんなに想われて幸せだね
丸井ブン太
「それがさ、めちゃくちゃ可愛いんだよ!」
ブン太の好きな人に対する思いを聞くのは何回目だろうか。
「あーはいはいわかったわかった。この前美味しそうにプリンほおばってたのが可愛かったんでしょ」
「そうそう、それだけじゃねーんだけどさ、体育の時間に転んでたりとか、下駄箱間違えたりとかもう…こう…」
女好きだと思っていたブン太は意外にも一途で、わたしはたびたびブン太のノロケを聞くハメになっている。
彼女はよっぽど鈍いらしくて、ブン太はやきもきしているのだ。
それにしても、彼女ドジなんだなー。
「そんなにスキなら告白すればいいのに」
「告白って、だってわかんねぇし…」
「普通にスキですって言えばいいんだって」
「言えねーよ…」
「噛まなければ大丈夫でしょ、ブン太なら」
「…それ、ホントかよ」
「本当本当!だからもっと自信持ちなさいよ!」
「うー、だってさ、これで断られてギクシャクしたら嫌だろい?俺は傍にいてぇんだよ…」
「フーン…その人、こんなに想われて幸せだね」
特に何も思わず言った言葉だったのに、ブン太が固まるのに時間はかからなかった。
「…お前さぁ…」
「?」
「…何でもねぇよ…」
だぁああああと奇声を発し始めたブン太を見やる。
そういえば、教室でプリン食べてたのも体育の時すっ転んだのも下駄箱間違えたのもわたしと一緒だなぁ。
ま、ブン太は彼女しか見てないからわたしのことなんかいちいち見てないと思うけどね!
3.それってつまりどういう意味?
跡部景吾
今日、俺様は告白をする。
告白っつったら、アレだ。愛の告白に決まってるだろう。
「スキです」、なんてありきたりの言葉は俺様は使わない。
「お前の人生、俺様で埋めつくしてやるよ」
徹夜して考えた最高の口説き文句だ。
シミュレーションでは完璧。
嬉しい!といってアイツが抱きついてくるところまで完璧だ。
アイツは生徒会の渉外や雑用係。
まぁ俺様の秘書のような存在だ。
放課後の中庭、人影は無く、告白をするには最高の状況。
こんなところで告白されたら「スキです」でもOKに決まっている。
ケータイで電話をしてアイツを呼び出す。
「あぁもしもし?俺だ」
「は?オレオレ詐欺って何だよケータイに表示されてるだろうがバカか」
「…お前、冗談なら冗談らしく言えよ」
「いや、用があるんだ。中庭に来い」
「…寒いから嫌だと?今は夏だけどな」
「いいから来いっつってるだろ!」
「あーん?用件を言えだと?…察しろよ」
何とか説得に成功し、アイツが来るのを待った。
やがてめんどくさそうにちんたら歩いてくるアイツが見えて、俺は口元が弧を描くのを止められずにいた。
「来たか」
「もう何の用?手短にお願い。」
「あー、その、何だ。お前の人生、俺様で埋め尽くしてやるよ」
完 璧 だ ・・・!
決まった。もうコイツは俺様のとりこになったはずだ。
「それってつまりどういう意味?」
「…は?」
「え、跡部の会社で働けとかそういうこと?それとも一生跡部の雑用やれってこと?どっちも嫌なんだけど」
「そうじゃなくてだな…」
「そんなの電話で済む用件じゃん。わたし急いでるから帰るね」
…ありえねぇあの女…
本気で鈍すぎるだろ…?
わざわざ呼び出した理由くらい察しろよ…。
しかし、逃げられれば逃げられるほど追いかけたくなるのが性分だったので。
「フッ、こんなところも可愛いじゃねぇか」
そう思っても仕方ない、だろう?
4.嫌いになったから避けてるんでしょ
仁王雅治
押してダメなら引いてみろ、とはよく言ったものだ。
まさかこんなに上手く行くとは思わなくて、思わず笑いが込み上げてきた。
気になりだしたのは半年前。
声をかけたのが5ヶ月前。
メールアドレスを交換したのが3ヶ月前。
そろそろ告白してもいいんじゃないかと思ったのが1ヶ月前。
俺とアイツは間違いなくいい感じだったのだ。
友達以上恋人未満、とでも言えばいいのだろうか。
俺が告白したら必ずOKするだろうくらいに思っていたのだが。
なにぶん、俺は素直ではない。
相手から告白させたい。
相手より優位に立ちたいのだ。
そんなわけで、俺の告白させるぜ大作戦が展開されていたのだ。
とにかく、今までではありえないくらい避ける。
挨拶を返すのは2回か3回に1回。
話をしてもそうそうに切り上げ、他の女子の会話に参加する。
メールが来てもすぐには返さず、「すまん忙しかった」などと言い訳 etc...
その効果か、アイツは俺を頻繁に見ている。
見ているだけじゃない。あの悩ましげな表情。
俺の事が気になって仕方ないはずだ。
…そろそろ頃合だろうか。
俺に挨拶を返されなくて悲しそうな表情をしたアイツを引っ張って、屋上に連れて行く。
「お前さん、何か俺に言いたいことあるじゃろ」
「え、あー…うん」
ついにやけそうになるが我慢我慢。
「何じゃ?」
「ごめんね、わたしもう仁王に関わるのやめるね」
「…は?」
何じゃ今のは。聞き間違いか。そうに違いない。
「何でじゃ」
「だってわたしのこと嫌いになったでしょ?」
「そんなこと思うとらん」
「嘘。嫌いになったから避けてるんでしょ、わたしそういうの鋭いからわかったよ」
まずった。
思い切り逆効果だった。
というか全然鋭くない。
「じゃあねー」
しかもそのまま帰ろうとするな!
俺等友達じゃないのか!
追いかけようとして、このまま追いかけてアイツに告白するのと誤解されたままでいるののどちらがいいか天秤にかけた。
答え?そんなの決まっている。
「お前さんが好きなんじゃ!!」
End