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その後は普通に飯食って帰った。(名前(男)にも俺にも自炊など出来るわけがないのでコンビニだ。)
泊まってく?とか言われたけど明日も学校だし断った。
それにしても、名前(男)の食生活はひどいと思うんだ。うんマジで。
聞いたところによると夕飯はコンビニオンリー、昼はカロリーメイトとかコンビニとかってふざけてんだろ。野菜食えよ野菜を!!!成長期舐めんな俺より背高いからって!
だから明日は何がなんでも食堂に連れていこうと心に誓った。食堂なら野菜もついてくるし美味いし。
…いや、ただ俺がコイツと飯食いたいだけとかじゃないからねマジで。
「…と、言うわけで今日は食堂な。」
「え。」
「いいから!返事!」
「う、うん。」
無理矢理名前(男)を食堂に連れていく。大分困惑してる。まぁ当然だけど。
途中で丸井先輩とジャッカル先輩に会った。
「お、赤也!」
「あ、どーもッス。」
「お前昨日はどうだったわけ?」
「昨日…?」
「とぼけても無駄だっつーの。デートだよデート!」
で、で、デートぉ?!
何だそれ何でそんなことになってるわけ?!
「違、違いますって昨日は、」
「隠さなくてもいいだろー。昨日やたらソワソワしてたもんなお前。」
「いやだから違うんです!」
「何だよ、そんなに隠さなくてもいいだろぃ?ま、そのうちわかる事だけどな。」
「だからせんぱ、」
「お、っていうかお前苗字名前(男)くんと知り合いなわけ?」
「え?」
名前(男)は微妙に居心地が悪そうに立っていた。
話題が自分に向かってきたとわかると少し顔を強張らせた。
そりゃ見知らぬ先輩が自分のこと知ってたら驚くわな。
「3年でも有名だぜー、すっげーイケメンの2年がいるって。」
「……どうも。」
「おいブン太いきなりそんな話振るなよ困ってるだろ。」
「おー悪い悪い!赤也と仲良いのか?」
「仲良いッス!!」
名前(男)に否定されたら悔しいから俺が先に答えた。
まだ2、3日の付き合いだけど他の奴等より仲良い自信はあるし!
「何でお前が答えるんだよ。」
「別にいいじゃないッスか!」
「まぁいいけどさ。それじゃーなー。」
言うだけ言って先輩達は帰りやがった。
何なんだあの人達。
全然こっちの話聞かねーし、名前(男)を困らせるし。
「名前(男)、悪いな先輩達が。」
「大丈夫だよ。それより俺達って仲良いの?」
多少からかわれるように聞かれた。ムカッときた。
「仲良いの!」
「そっか。」
名前(男)が女子みたいにクスクス笑うと、周りにいた生徒達がこっちに注目してくる。
見せ物じゃねぇよ何だお前等!と思って軽く睨むと慌てて視線をそらされた。
「うん、美味しい。」
「だろ?!ここの焼肉定食めっちゃ好き!」
「赤也肉好きだよね。」
「大好き!」
マジでうめぇと思いながら食べていると、名前(男)が固まってこっちを見ていた。
え、何?
「……何だよ。」
「いや何でもない。」
「ふーん…お前ってよくわかんねー奴。」
「でもそのよくわからない奴と赤也は仲良いんでしょ?」
「うるせーな!」
もう一つ分かったこと。
名前(男)はけっこう、ああ言えばこう言うタイプだった。
でもそれも心開いてるってことじゃね?
なのに。
食べ終わって教室に戻る最中に名前(男)はいきなり言った。
「赤也っていい奴だな。」
「は?何だよ急に。」
「いや、俺と仲良くしてくれるし。」
「そんなん当然だろ。って言うか皆お前と仲良くしたいって思ってるよ。」
「……そうなの?」
「あぁ。」
「………あのさ。」
「あーもう何だよさっきから!」
「俺と仲良くするの、辞めない?」
「は?」
意味を理解するまでたっぷり30秒。
何でだよとも言えず立ち竦んでいたら名前(男)は俺を置いてそのまま教室まで戻ってしまった。
……意味わかんねー。
End