3



飯食べて、ゲーセン行って、…何だこれ普通に友達じゃね?


今現在、そのまま二人で家に帰ってきている最中。
俺と苗字の使っている駅は一緒だった。
苗字の住んでるところは駅から歩きで10分くらい、とここからけっこう近い。

駅前に置いてたチャリをとってきて、二人で並んで歩く。
すっかり暗くなっていたけど、こいつといるのは案外楽しいんだよな……いやほとんど喋るのは俺だけど。
別に苗字が聞き上手だとかは思わないけど、何なんだろうか。


「…あぁ、俺の家ここだから。」

苗字がそう言うので足を止めると、でっかいマンションがあった。

「お前けっこういいとこ住んでるのなー。」
「まぁ…うん。……あのさ。」
「ん?何?」
「…俺知ってたんだよね、切原があのバンド好きって。」
「え、マジ?」
「前教室ででっかい声でしゃべってたじゃん。」
「あー…そんなような気もする。」
「だから、友達になりたいなって思ってたんだよね。」
「…ふーん…。」
「だから、今日ちょっと嬉しかった。」
「お、おお。」
「切原は罰ゲームかもしれないけどさ。」

…ぴしりと固まった気がした。何がって自分が。

「…お前何で知って…。あの時教室いなかったくせに…。」
「クラスの女子が教えてくれた。」

…これはヤバい。嫌な汗が出てくる。
お前女子と、つか他人としゃべるんだ?と聞きそうになった。落ち着け俺。

…………

………いや、何で俺ちょっと必死になってんだ。

「いや…それはだな……。」
「別にいいよ、じゃ。」
「お、おい待てよ!」

でも何つうか、ここでちゃんと言わないともうこうやって話したり出来ない気がした。

「その、確かに悪かった…ごめん。」

苗字は黙って俺を見ている。

「でも、お前と友達になりたいのはホントだし、…何つか…。」
「ホントに?」
「え?あ、あぁマジで!」
「…そっか。」

心なしか笑った感じがする苗字に少し安心する。

「あのさ、切原。」
「ん?」
「メールアドレス教えてくれる?」
「おう!って言うか、もう友達なんだろ?俺切原って呼ばれるのあんま好きじゃねーから、赤也って呼べよ。」
「うん、分かった。じゃ俺も名前(男)でいいよ。」

そのまま5分くらい話して、帰ってきた。
名前(男)。何か呼び慣れてないから新鮮な気がする。

明日学校行って俺が苗字のこと名前(男)って呼んだら皆どんな反応するんだ、って考えたら少し楽しくなった。


End







「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -