神様どうすれば
「なぁ名前(男)、俺もうアカンわ。来て?」
メーデーメーデー。
朝起きたら、白石からの救難信号が入っていた。
そして、まぁうん。
全力疾走するやん。
白石家に向かって。
ある日、真実の愛とやらに目覚めたという白石に告白されて。
不覚にも(いやホントに不覚にも!)ときめいてしまった俺は何故かその直後白石に接吻をしてしまっていた。
………アホやん、俺。
白石はそれを当然告白了承の合図だと受け取り、あれよあれよと言う間に俺と白石は恋人同士になりました、めでたしめでたし。
なーんてことがあり。
流されてる感が否めないが、白石は間違いなくカッコイイし、…カッコイイし、それにカッコイイ。
いや、俺だって自分がこんな面食いだと思ってへんかったけどな、でもあの顔で
「名前(男)…好きや……。」
とか言われてみ?
そりゃ心動くわ。
悪い気はせーへんせーへん。
さて、そんなカッコイイ恋人からの救難信号を受け出動した俺は曲がり角でキンキンの頭をした男と激突したのだ。
「か、堪忍!ちょお急いでてん!」
慌てて立ち止まり相手の様子を確認すると、相手も慌てて立ち上がった。
「いや俺も前見てへんかったわ!」
カラッと笑われて、とりあえず当たり屋とかじゃなくて良かったと思った。
「おお、そんじゃあな!」
とりあえず無事そうなので再び走り出すと、相手の男も同じ方向に向かって走ってきた。
あっという間に追い抜かれ、(いやこいつ速すぎやろ)そのまま俺の目的地と同じところで止まった。
……ん?
俺がその場で観察していると、そいつは白石家の呼び鈴を鳴らした。
白石が少ししてから出てくると、親しげに会話を始めたのだ。
……誰やねんこいつ。
ちゅーか、白石はむっちゃ普通に元気そうなんやけど。
「白石ー!どないしてんー?」
「謙也来るの早いわー。恋人紹介したいねん、ちょお上がって。」
………激しく嫌な予感がしたのでその場で踵を返して帰ろうとしたが、白石に見つかった。
「名前(男)!待ってたで!」
「…人違いですわぁ。」
「アホか。」
そのまま有無を言わさず白石の部屋に連れ込まれキンキン頭と再びご対面。
あーさっきぶつかった人やん大丈夫やった?
おー大丈夫やでそっちも大丈夫やったかー?
平気やでーつーか自分もここに来るつもりで急いでたんかぁ
せやなー、俺忍足謙也言いますねんよろしゅうー
俺は苗字名前(男)やよろしゅうなー
と、世間話をしてたところで飲み物を取りに行っていた白石が戻ってきた。
「なん?名前(男)と謙也知り合い?」
「さっきそこでぶつかっただけや。」
「ホンマに?名前(男)大丈夫やったか?」
「俺の心配はせえへんのか。」
「当たり前やん。」
「お前………まぁええわ。恋人紹介したいんやって?今おんの?」
「おぉ。おるで。」
「せやったら早く紹介してや。」
「ん、苗字名前(男)や。」
「アホ。そないなボケいらんわ。」
「ボケとちゃうわ。正真正銘お付き合いしてますー。」
「そないなネタ小春とユウジだけでお腹いっぱいや。被っとるで。」
「せやから、ネタとちゃうねん。」
「……は?」
「なんなら証拠見せたるわ。」
二人のテンポの良すぎる会話に入れず(アレ俺関西人?)話し半分で聞いていたら、いつの間にか白石の顔が超目の前にあった。
「謙也、見とき?名前(男)はな、俺の一番大切な人やねん。」
「ちょお待ておまっ……!」
そのまま、口と口がくっついた。
視界の隅っこでぽかんと間抜けな顔をしているキンキン頭、もとい忍足謙也を捕らえた。
30秒ほど時間をかけてゆっくりキスされ、名残惜しそうに離される。
「……見たか?」
言葉も出ないらしい謙也くんを見て白石は満足そうに笑った。
「ちゃんと謙也には紹介したかったんや。」
俺の恋人は、この人やって。
あまりにいい笑顔で笑う白石に見惚れそうになり、我に返った。
アホ!ちゅーかお前、あの救難信号は何やったんや…!!
「そうでも言わんと名前(男)来てくれへんかと思ったからな。せやけど、来てくれて嬉しい。」
……あぁもう神様。
何か俺今こいつにときめいてます。
唖然としている謙也くんを横目に、こちらから白石にキスしてしまった。
………いや、何してんねん、俺…!
End