ねーねーキミキミ!

跡部景吾/男主攻め主



俺こと苗字名前(男)とは、氷帝学園の保健医だ。

最近、俺様の襲来にあっているのが小さな悩みです。


「なぁ苗字!」
「…また来たの跡部くん、何もないなら帰りなさい。」
「いいじゃねぇか。」

呆れたようにため息をつくがそれでもコーヒーを淹れてしまう俺は甘いかもしれない。

「お前が好きなんだよ。」

そう言ってまっすぐに告白してくるのは、何回目か。
初めての時は相当動揺したが、今となっては慣れてしまった。

「あーはいはい。」

軽く流すととても悔しそうな顔をされる。
ガキ扱いされるのが嫌なのだろう。

……もちろん、俺からしたらただのガキなのだが。

「逃げんな。」
「そりゃ逃げるよ。」
「なんでだよ。」
「いい?俺は先生、お前は生徒。そして男同士。」
「だから何だ。」
「…お前は俺がクビになったらどーすんの。」
「俺様の家の会社で雇ってやるよ。」
「これだからボンボンは……。」
「……じゃあ、アレは何だよ。」

…実際、俺は男より女の方が好きなんだけど。
それでも小さい頃から自覚はしていた。
俺はいわゆるバイ。つまりは男も女もイケるのだ。
だから跡部が生徒(いや俺は保健医だけどね)でなければ特に問題は無いのだ。
そして、俺はコイツに男と連れ立ってホテルに入ったところを目撃されてしまっている。

「アレは…えーと酔ってた。」
「酒呑めばお前は俺ともホテル行くのか。」
「そういうのじゃなくって、さぁ…。」

あぁ軽率だったと自分でも思ってるよだって俺まだ若いんだもん。

跡部は俺を好きだと言う。
理由は何回か聞いたけど、どうやら跡部が過労(学生の身で過労とか不憫過ぎるよね)で倒れた時に俺が説教したかららしい。
……いや、保健医として体調管理が出来ない生徒を叱るのは当然だと思うのだけど。

『俺様をあんな風に叱ってくれたのはじいとお前だけだ。』

だそうだ。
ちなみに、だったらじいと付き合えよとか思ったのは秘密である。


「苗字、いいだろ?俺が好きだって言ってるんだ。」
「少しは自分の思い通りにならない事があるのを悟りなさい!」


そりゃ、ね。
俺は両刀なわけで。
こんなイケメン君に迫られたら心も動きますよ。
それでも、跡部の未来を潰すわけにはいかないじゃないか。
コイツには輝かしい未来が待っているであろう。
それなのに俺がコイツの人生の汚点にはなりたくない。
いや、既になりつつある気はするんだけど。

それでも感情に流されちゃいけないから、俺はコイツをつきはなそうとするのだ。

「…あのさ、俺はタチなわけ。だから跡部くんは抱かれる立場なわけだよ。ネコってめちゃくちゃしんどいらしいよ。しかも俺SMとか好きだよ?縛るよ?いーの?泣きが入ってもやめないよ?」

まくしたてるように言うとさすがの跡部も多少怯んだようだ。

「ね、跡部くん。それでも俺と付き合いたいって思う?」



しかしまぁ俺はコイツを舐めていたわけで。

「……当たり前だ。」
「何でだよ!」
「お前は、一度でも俺を人間として見たか?生徒だから、男同士だからって逃げてばっかじゃねぇか。俺は真剣なんだよ。俺を好きになれないなら、女を振るときと同じように振れよ。納得いくわけねぇだろうが!」

そこまで言われて俺はやっと、理解出来た。


コイツは真剣なんだ。

一息で言ったせいか少し息を切らして、
でも目はまっすぐに俺を見つめる。
必死なのが見てとれた。

…あぁクソ、何だこの感じ。





………可愛いじゃん。



ふーっと長い息を吐くと、跡部はビクッと反応する。
きっと振られると思っているのだ。


「…お前は生徒だよ。」
「だから、」
「お前、あと少しで高校卒業だろ。俺の生徒じゃなくなるんだよな。」
「……。」
「お前が大学入って、可愛い女の子にたくさん会って、それでも俺が好きだって言うなら、いいよ。」
「いい、って。」
「…俺のとこ来てもいーよ。」
「本当か?!」
「あぁ。」

だってもう可愛いんだもんコイツ。
人生の汚点とか、世間体とかどうでもいいくらい。


跡部は意味を反芻していたがようやく理解すると、俺に飛び付いてきた。

「うぉ、」
「ハハッお前も俺が好きだったんじゃねぇか。」
「生意気言ってんなクソガキ。」

ムッとした顔をされると、少し満足。

「……大体、お前あの時ホテル行ってたやつ誰だよ。」
「あー友達。完ッ全に酔ってたから結局何もしてねーけど。」
「…本当かよ。」
「疑り深い男はモテないよ。」
「うるせぇ!」

End


「お前あんま身長伸ばすなよ」
「は?」
「俺より背高いとヤリづらいから。」
「ハッ、お前より背高くなったら俺様が抱いてやるよ。」
「いや勘弁してよ。」






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