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「あー気持ち良かったー。」

多少逆上せながらも風呂から上がる。風邪はけっこう治ってたみたいだ。(まぁ…俺健康優良児だし。)

「え?」
「は?」
「あ、お風呂がだよね。うん、何でもないよ。」
「………。」

もうやだコイツ……。

「そういえば明日から3連休でしょ?」
「あー、そうだったな。」
「今日はもう泊まってくからいいとして、明日とかどうする?」
「あー…まぁその場の空気で……。打ち上げは明後日だよな?」
「多分ね。実行委員の子がメール回すって言ってた。」
「……アドレス交換したわけ?」
「いや、連絡に必要でしょ?」

……そりゃそうだけど。名前(男)のアドレスってレアなのに、と思わないでもなかった。

「って言うか文化祭準備の時にけっこう交換したけど。」
「はぁ?!マジ?!」
「………もしかして妬いてる?」
「妬いてますけど?!」

開き直ってみた。
名前(男)はちょっと驚いたような表情をしたけど、すぐに凄く嬉しそうな顔をした。

「ふーん、そっかぁ。」
「……何だよ。」
「ううん、赤也可愛いなと思って。」
「気持ち悪いこと言うなよ!」
「でもホントに可愛いよ?」
「……いや、もう黙ってください…。」

名前(男)はドライヤーを取ってくると、俺の頭を乾かしはじめた。

「名前(男)って世話焼きって言うかさぁ…構いたがり?」
「あー、そうなのかも。こういうの嫌?」
「むしろ好きだからいいけどさぁ。」
「じゃーもっと構おう。」
「それはやめろ。」

……うん、自分でも思うから言わなくていいです。
………何だこのバカップルの会話!!恥ずかしい!!
甘いよ空気が!いや俺が作った空気だけど!

「おーくるくるが復活してきた。」
「くるくる言うな…!」
「気にしてんの?」
「当たり前だろ!ワカメとかチ●毛とか言われてんだぞ?!」

下品でごめんなさい。

「俺は好きだけどねぇ。赤也ーって感じがして。」
「はぁ?何だそれ。」
「赤也ってすぐわかるから。好き。」
「ハイハイ。」

名前(男)の髪は何つーか、柔らかい感じ。髪が細いのか何なのかわかんねーけど。

「ん、もういいかな。」
「俺も名前(男)の乾かしていい?」
「あーお願い。」

ドライヤーを受け取って名前(男)の髪を乾かした。同じシャンプーなはずなのに、名前(男)からする匂いにクラクラした。

「この後どーする?」
「んー、…ちょっと早いけど寝るかー…。」
「そうだね、赤也風邪だし。」
「もう治ったっつーの。」
「一日で治るモンなの?あんな体調悪そうだったのに。」
「いーんだよ細かいことは。」
「ふーん…?」

微妙に納得いってないらしいけど強引に押しきった。

「ま、じゃあ寝ようか。」
「おー。」

歯磨きしてトイレに行って、さて寝ようと名前(男)のベッドに二人で入った瞬間携帯が鳴った。

聞き覚えのあるメロディだったので、この着メロは俺のか、と思ったけど名前(男)の携帯らしかった。(メロディは例のバンドの奴。名前(男)も同じの着メロにしてたんだ…。)

名前(男)は誰からの着信か確認すると、ちょっと困ったような顔をした。

「誰?」
「田辺さん。」

忘れてる人の為に説明すると、田辺とはお化け屋敷に一緒に入った女子である。

「ふーん、出ねーの?」
「俺あの人ちょっと苦手…。」
「じゃあ俺が出よっか?」
「お願いしていい?」

許可をもらったので電話に出た。

「もしもし。」
「もしもし苗字くん?明後日の打ち上げなんだけど、」
「悪い名前(男)じゃなくて。俺だよ俺ー。」
「…………赤也?!」
「そ。」
「え、あたし赤也にかけてる?」
「いや。俺今名前(男)ん家にいるから。名前(男)風呂入ってるから、用事あるなら伝えとくけど?」
「そう?まぁ赤也にも電話しようと思ってたしね。明後日の打ち上げは学校の近くのお好み焼き屋でするから。夕方の5時集合で、二次会とかはちゃんと計画したわけじゃないけどカラオケかなって。」
「りょーかい。じゃーな。」
「うん、バイバイ。」

明後日打ち上げか。明日は暇なんだよな。何しようかなー、…………。

…………ん?俺何かすげー大事なこと忘れてる気がするんだけど。

……………。

「打ち上げの話?」
「あぁ、明後日の5時に学校近くのお好み焼き屋。」
「ふーん。……ねぇ、赤也部活は?」
「あ。」

すっげー大事なこと:部活

慌てて練習の予定表を引っ張り出して確認する。(カバンの中でくしゃくしゃになって発見された。名前(男)が微妙に眉をひそめた。)

「……えーっと、明日は午後からで、明後日は…練習試合?!マジかよ!」
「打ち上げ出られそう?」
「微妙ー…。行けると思うけど…少し遅れるかもだな。」
「そっか。部活大変だね。」
「んー…まぁ楽しいし。テニス好きだし。」
「ならいいんだけど。来週はもうテスト期間だしね。」
「あ。」

すっげー大事なことその2:テスト


何かもう、名前(男)と付き合い出した喜びやらなんやらで色々忘れ過ぎてた。

……テストどうしよう。


END






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