神様ここです



何もないわ!!!


あ、いきなり取り乱してどうもすいません苗字名前(男)です。
最近妙に真知子さんが怖かったり、周りの人に白石との関係がバレないかビクビクしながら生活してたけども、それ以外は平和だった。

白石は相変わらずモテまくりの生活を送ってるし、俺も俺でTHE・平凡ライフを満喫していた。平和って素晴らしい。

そんな俺の平和を乱すのは良くも悪くも白石しかいない。


「なぁ、そろそろ俺等一発ヤッてもええ時期とちゃうん?」
「俺まだ卒業してへんから。」
「童貞は卒業しようやー。あ、ほんなら軽く抜き合うとか。」
「……さっきから我慢してたんやけど、サラッと下ネタ言うのやめへん?泣くでホンマに。」
「いやぁ鳴かせたい気持ちはあるんやけど泣かれたら困るわぁ。」
「…………。」
「あっ、せやけど俺下で構へんで?名前(男)に可愛がってもらうなら大歓迎やし。」
「もう黙れ自分。」
「黙って欲しいなら俺の口塞いで欲しいわ。もちろん名前(男)の口で!」
「………………。」
「えー、せえへんの?!」
「アホか、ホンマに。」

白石くんは発情期のようです。


「なー、ほんならちゅーしよう。」
「嫌や。ちゅーか『ほんなら』が全く効いてへんけど。」
「えー。舌入れる奴がええわ。酸欠になりそうなくらいエロいんがええなぁ。」

白石くんは発情期です。


最近、収まってきたはずの問題が再浮上している。白石が俺にムラムラして仕方ないらしい。
だったら俺の部屋に来るな、と言いたいところだけど、本当に来なくなったら寂しいから言えない。純情な乙女心って奴やな。(……笑うところやで?)

貞操を守った俺としては、このまま卒業まで何とか突っ走りたいところ。
けじめ、というか、一回決めたことは守る主義なのである。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、白石の性欲は日々高まっている気がする。この前白石から大量のメールが届いたが、それを見た俺の心情はストーカー被害に遭った人のそれだった。(内容は何となく察して欲しい。)

そりゃ、俺も流されまくってはいるけどちゃんと白石が好きなわけで。
白石と色々したくないと言ったら嘘になるけど、さすがに白石はまだ中学生だから手は出せない。

「名前(男)ー、」
「あーもうやかましいわ。俺ん家で勉強会っちゅー話やろ!」
「やってー。名前(男)がエロいんが悪いわー。」
「エロくないわ!変なフィルターかけんな!」
「なーなー、ほなこの問題解き終わったらちゅーしよ。」
「ええ加減にしろや白石ぃ!」
「そう、それや。」
「……は?」
「何で俺苗字で呼ばれてん?」

………確かに。

白石は幼なじみだし、白石の姉ちゃんも妹も俺は名前で呼んでいる。
それなのに俺は気付いた時には白石を白石と呼んでいた。

「そのうち俺も苗字になるんやから、今のうちから蔵(はぁと)って呼ぶ練習せーへん?」
「とりあえず自分が苗字になる云々はスルーすんで。確かに何で俺白石って呼んでんねやろ。」
「こんなに一緒におるんやし、苗字で呼ぶんは変やない?」
「……なーんか、理由があった気がするんやけど……。」


とりあえず記憶を奥深くまで探ってみることにした。


……確か、白石と初めて会った時、白石はまだ赤ちゃんで……。

白石が言葉をしゃべれるようになってからはよく公園で遊んでたな。
……その時は確か、

「クー?」
「は?」
「俺うんとちっこい頃、白石のことクーって呼んでた気がするんやけど。」
「………そういえば…、そうやったな。」

俺もまだ舌が上手く回らなかったので、クーと呼んでた。

小学生になって、幼稚園児の白石と遊ぶのが少し恥ずかしく感じた時期もあったけど、白石は俺に凄くなついていたので無下には出来ずにしょっちゅう遊んでいた気がする。

白石も小学生なってからはもう「白石」と呼んでいた。……あれ、確かその理由は、



『名前(男)ッ!!』
『どないしたんクー。そないに泣いて。』
『クーやない!そない、な赤ちゃんみたいな呼び方せんとって!!』
『な、どないしたん?!』
『もう俺赤ちゃんやないー!!』
『わかった!わかったから泣くな!泣くほど嫌やったんか!』
『ちがッ、うぁぁぁん!』
『ごっ、ごめんな。ほな今度から白石って呼ぶから!』
『嫌やぁー!!』
『うん、もうクーって呼ばへんから!』
『ちゃうねん、名前(男)、』


「……白石が自分で言うたんやなかった?」
「………何を?」
「めっちゃ泣きながら、『もう俺小さい子やないんやから、クーって呼ばんといて!赤ちゃんみたいやん!』みたいな感じのことを。」
「…………。」

思い当たるフシがあったのだろう。白石は口元に手を当てて考え事を始めた。

「……思い出したわ。確かそん時クラスメートにバカにされたんや。ほんで、名前(男)に今度から『蔵』って呼んで!って言いたかったんやけど泣き過ぎて上手くしゃべれんくなってたんや。」
「………俺はそれで『白石』と呼ぶようになったんやな。」




……なんちゅーか……。

「………で、今に至るわけか。」
「せやな。……めっちゃ恥ずかしいんやけど。」
「何でー?クーは可愛えなぁ。」
「クーって言うなや!」
「友香里ちゃんはクーちゃんって呼んでるやん。」
「……そやから嫌なんや。…なぁ、俺んこと、蔵って呼んで。」
「えー、白石でええやん。」
「嫌や。今まで呼んでくれへんかった分呼んで。」

……今日の白石は発情期。何か色っぽい。
そんでもって小さい頃の白石を思い出したせいか、白石が凄く可愛く見える。

「なぁ白石、」
「せやから蔵って、」

顔を上げた白石に噛みつくようにキスをした。
今まで白石にされたような、大人のキスって奴だ。

口を離すと白石は見る見るうちに赤くなった。

「蔵、可愛え。」

ニッと笑ってそう言ってやる。
たまにはこんなのも悪くないわ、と思ってると。

「名前(男)ッ!!……大好きや!」
「ち、ちょお待て!」
「いやー名前(男)めっちゃ好きや!好き過ぎて死にそう!やっぱヤろう!って言うかむしろヤらせて!」
「自分何か目が怖いんやけど!」

発情期白石に思いっきり押し倒された俺はその後大人の階段を登るのを必死で拒否するハメになった。


………いや、何もないで?!
吸われたとか舐められたとかあらへんからな!!


END







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