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15禁ですご注意
「……っ、ふっ、」
つい声が漏れそうになる。
薄い扉一枚隔てた向こう側には人がいるのに、俺は名前(男)のキスに夢中になっていた。
気持ちいい。イキそう。もっと。
この異常な環境は俺を興奮させるのに十分だった。名前(男)が与えてくれる快楽がいつもより大きく、気付けば俺は名前(男)に寄りかかるようにして辛うじて立っていた。……腰が砕けたわけだ。
ロッカーの扉が開いてしまわないように気をつけながら身体の向きを変え、名前(男)と向かい合う体制になった。
「赤也、これ以上は、」
名前(男)が耳元で囁いた。確かにこれ以上やったらバレない自信が無い。
…でも、バレるって決まったわけじゃないし、少しくらい…。
俺のその考えが顔に出ていたんだろう。名前(男)は僅かに迷う素振りを見せたがやがてキスを再開した。
名前(男)の下腹部に手を当てるとそこはとっくに熱を持っていて、俺は嬉しくなった。ベルトを外そうとしたら名前(男)が慌てて俺の手を止めた。
「ちょっと、ホントにダメ。」
「じゃそのまま戻る気?」
「………しばらくほっとけば大丈夫だから。」
「ホントか?」
うっと言葉に詰まる名前(男)を見てもう大丈夫かとベルトを外した。多少カチャカチャと音がしたものの、ロッカーの外の二人には聞こえなかったようだ。ズボンのホックも外し、チャックに手をかけた瞬間、教室のドアが勢い良く開く音がした。
背筋がサアッと凍るのを感じたが、俺達はロッカーの中にいるから見つかるはずはない。ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、俺にとって何より背筋の凍る声がした。
「貴様等、何をしてるかー!!」
すいません!と反射的に謝りそうになる。……真田副部長だ。
「が、学校でそのような行為など、」
「ちょっと落ち着いて…!」
多少裏返った声を聞いて、透子さんと彼氏らしき人が教室で何をしていたか察した。…副部長ああいうのに免疫無いもんな。もう一人の声は恐らくさっき真田副部長と一緒にいた人のものだろう。
バタバタと教室から二人の足音が出ていった。真田副部長達も出ていったようだ。
「……あーびびった。」
「赤也、一瞬でビクッてなったもんね。」
「うるせーよ…。…で、どーすんのそれ。」
名前(男)は曖昧に微笑んだ。続きをしても良いってことだろうか。
名前(男)のズボンのチャックに手をかけて、下着に噛まないようにゆっくり下ろした。名前(男)も俺のズボンに手をかけてきた。
自分でしてる時はあんま思わないけど、他人にベルト外されたりチャック下ろされんのって緊張すんだな。
下着の上からツツッとなぞられる。腰のあたりがゾクゾクしてたまんない。
俺もやわやわと形を確かめるように触ると、名前(男)の喉がヒクリと鳴った。
下着のゴムに手をかけて取り出すとそれは完全に立ち上がっていた。するすると手を上下させるとさらに大きくなる。
俺もいつの間にかズボンと下着が下ろされていた。直接触られるのはやっぱ気持ちいい。布ごしのもどかしい感じも好きなんだけどさ。
顔を上げると名前(男)はじっと俺を見ていた。したくなったので唇を合わせると名前(男)もそれに応えてくる。
ぬち、と嫌な水音がした。ぐちゃぐちゃになった俺のそれを弄ばれてるのが何となく悔しくて俺も手の動きを早めた。あ、ダメ、イク、とAV女優のようなことを叫びそうになる。実際ここが学校じゃなかったら叫んでたかも。俺って変態だったのかとショックを受けた。
…名前(男)は俺がイキそうになったのを悟ったのか、手の動きをピタリと止めた。
「………ッな、何で?」
キスの合間に尋ねると、名前(男)はニッと笑ってから俺の腰を引き寄せてきた。
「嫌だったら言って。やめるから。」
「何を、ってあッ、」
……その、何だ。俺のと名前(男)のが擦り合わされている。俺のはとっくにぬるぬるになっていたのでめっちゃ滑る。名前(男)のはめちゃくちゃ熱くて、あーもう意味わかんねーってくらい気持ち良かった。
「名前(男)、何、コレ、」
「…ッ嫌?」
「やじゃない、きもちい。」
名前(男)がゴクリと生唾を飲み込んだ。
「ヤバイ、俺もう…ッ、」
「俺も……、イッていいよ。」
先端を強く握られてイッた。名前(男)もほぼ同じタイミングで果てた。はぁはぁと荒い息のまま名前(男)の肩にもたれかかる。名前(男)は俺のを何回かしごいてから手を放した。
どーすんだコレ、と呆然としていると名前(男)は俺の尻の方に手を回して来た。
………嘘だろオイ。
「ね、赤也知ってる?男同士だとココ使うんだって。」
グリグリと指を押し付けられた。さっきまでの興奮が嘘のように背筋がサアッと冷たくなった。本日3回目だ。
「……名前(男)、ちょっと待て。嘘だろ。」
知識として男同士がヤる時はそこを使うんだとは知っていた。が、それは別の話だ。痛いに決まってるだろ。冗談だろ。こんなとこで初体験とか勘弁してくれよ。
俺が真っ青になったのを察したのか名前(男)は薄く笑ってから手を放した。
「冗談だってば。ね、赤也、気持ち良かった?」
「お前な……。…聞くなよそんなこと。」
「だって嬉しくて。赤也、大好き。」
「お、」
俺も好き…!と言い掛けたのに、名前(男)は俺の返事を聞くつもりは無かったのか後始末を始めた。前みたいにティッシュで手を拭いてもらった。それからロッカーの壁に飛び散ったのも綺麗にして、制服には奇跡的についていなかったのでそのまま着た。
「誰もいない、よね?」
「多分な。」
ロッカーの中から注意深く外を確認してから出た。水道で手を念入りに洗う。
何となくさっきまでの熱が残ってるような気がしたけどいい加減教室に戻らないとまずいので気のせいだと思うことにした。
End