神様来てください



貞操守ったどー!!!


えーっと第一声が物凄くアレですいません。先日告白してきてくれた女のコにホモだとバレた苗字名前(男)です。
…冷静に考えるとかなりショックだよな、告白した相手が男(しかも元カレ)と付き合ってるなんて。

まぁそれは追々解決しよう。


先日白石家にお泊まりした時のことだ。夕御飯は白石(イケメン)が腕を振るったので非常に美味しかった。
名前(男)くん風呂先入っちゃってなーと白石母(美人)に言われたので浴室に向かった。「背中流そか?」と途中で白石姉(美人)にちょっかいを出され、友香里ちゃん(可愛い)に「あたしも一緒に入りたいわー」と言われた。ハハハ冗談きついわーと流していると(何か目がマジで怖かった)白石父(ダンディ)が「名前(男)くん久しぶりやな、たまには俺と入ろか」と肩に手を回した。そこで白石(イケメン)が激怒した。

「名前(男)は俺と入るんやから!」

えええ?!そうやったん?!

と言いかけたけど口を手で押さえられた。

白石家は全員美形なので面食いの俺としては目の保養になるのは確かだ。…そんで何故か俺は白石家で愛されてる気がする。

「クーちゃんキモイわ!」
「うるさいわ友香里。行こ。」

いつの間にか俺の分の着替えも持った白石に引っ張られ浴室へ。…あれ、一緒に入るのって確定事項なん?

「なぁ、ホンマに二人で入るん?」
「当たり前やん。」
「………………。」
「早よ脱ぎ。」

何でか逆らえずに服を脱ぐ。…最近運動不足や、少し筋肉落ちた気がする、と思っていたら白石が俺の腹筋(一応割れとるんやで!)を見て一言。

「…無駄多いわ。」
「うるさいわ!!」

白石の身体はこのまま石膏像にしてもいいくらい引き締まっていたので悔しかった。

白石家の風呂釜は大きいので男二人入ってもまだ余裕がある。

「何か久しぶりやな、小さい時はよく二人で風呂入っとったよな。」
「せやなー…。名前(男)はそん時から俺が好きやったん?」
「………いや別に。」
「照れなくてもええやんー。」

白石に告白されてときめいて好きになったなんて言えない。

でも白石の小さい時はそりゃーもう天使やった。めっちゃ可愛かった。

『名前(男)くん!』

って俺の後ばっか着いて来たしな。

なんて回想していると太もものあたりに不穏な感触があった。白石の手だ。

「アホ、触んな。」
「ケチ。」

そんな天使だった白石がいつの間にこんな………イケメンになったんやろな。(皮肉とかやないで!)

髪を洗うために風呂を出ると何故か白石も出た。

「…何?」
「俺が洗ったるわ!」

そう言われて白石が取り出したのは外国製の高そうなシャンプー。

「これの匂いめっちゃ好きやねん。」
「………。」

そういえばシャンプーの香りがする子が好きとか言ってた気がする。…確かにこのシャンプーはいい匂いだ。確実に女用だけど。

「ハイ体倒しまーす。」
「美容院か!」

少し身体を傾けたまま固定すると白石は髪を洗い始めた。顔と顔とが近くて妙に緊張する。白石は真剣な顔つきをしているし。

「頭皮荒れとるで。」
「んーそうなん?」
「アカンで?将来ハゲるわ自分。」
「嫌やなー……。」
「まぁ名前(男)がハゲても俺は好きやで。」
「…ハイハイ。」

髪洗って、身体洗って(コレは自分でしたで!)、そろそろ出ようと思っていると白石が言った。

「先上がっててな。俺まだ全然洗ってへんし。」
「おう。」

一人で先に上がって白石の部屋に。相変わらず健康グッズばっかで正直気持ち悪……くないで!!

「名前(男)!髪乾かし!」

少ししてドライヤーを持った白石が部屋に飛び込んできた。

「えーすぐ乾くからええよー。」
「そんなんやから頭皮荒れるんや!ハゲたくなかったら乾かし!」

オカンかお前は、と思ったけど乾かしてくれるらしいので素直に従う。

白石って案外尽くすタイプやんなーと思いながら背中を預けていると、ふと眠気が襲ってきてあえなく俺は撃沈したのだ。



くすぐったくて目が覚めた。腹のあたりがもぞもぞしている。

「ん?名前(男)起きたん?」
「な、何してんねん自分!」

裸に剥かれてるとかは無かったけど白石が俺に跨がっていた。

「言うたやん、夜は一緒に寝ようって。」
「アホ!ホンマにやめなさい!」
「嫌や!俺は今日覚悟を決めたんや!今までは絶対俺が上で名前(男)が下やって思っとったけど名前(男)の為なら俺が下でもええって!」
「落ち着け!まずそんな事態になることを想定すんなアホ!」

とりあえず白石を宥めなければ貞操を失う。…ちょっとまだその覚悟は出来ていない。

「何でダメなん?名前(男)は俺んこと好きやないんか?」
「いや、好きやからこんな状況ではしたくないねんて!」
「……じゃあ、いつならええんや。」
「と、とりあえず白石が高校卒業するまではアカン!」
「あと3年もプラトニックとか爆発するわ。」
「せんから!爆発せんから!こっこういうのはアカン!」

白石の目が完全に据わっていて怖い。何なん自分。

「ほ、ホラ、やから今日は大人しく寝よ?な?」

出来る限り優しい声で言った。
白石は眉間にギュッと皺を寄せたが渋々といった感じで俺の隣に寝転んだ。

「…せやけど、3年も待てへんわ。」
「………そこは頑張らんかい。」
「やって、名前(男)はその頃大学生やん。今よりもっと女のコに囲まれるわけやん。不安でおかしなる。」
「…………。」
「今でも真知子がおって不安なんに、俺の知らん子にいつか名前(男)を取られるんじゃないかって思うんや。既成事実が欲しいねん。名前(男)が俺から逃げられなくなるような。」
「……アホか。」
「なっ…!俺は本気で、」
「やからアホかっちゅーねん。とっくに逃げられなくなっとるわ。不安なんは俺も一緒や。特に白石イケメンやし。」

隣でゴロゴロしながらひっついてくる白石に、思っていることを素直にぶちまけた。

「…やったら、名前(男)が高校卒業するまでは我慢するわ。」
「あと1年弱やん。」
「そんくらいは耐えるわ。せやから、名前(男)が高校卒業したら、な。」
「……まぁ、ええよ。」
「絶対な?そん時にやっぱアカンって言うても聞かへんで。」
「ああ。」
「ほんなら、予行演習はしとこか?」
「あ………ああ?!」
「本番はあと1年弱待つけどまぁその一歩手前くらいまではいくで?」
「ち、ちょお待て!話が違、」
「嫌や。」
「ふざけんなしらい、」
「名前(男)…。俺を拒否せんといて?」

悲しげな顔をされた。この顔をされると俺は白石に逆らえないのだ。

「ず、ずっこいわ!」
「何のことなんかわからんわー。」

白石そのまま上に覆い被さってきて………うん。お察し下さい。


回想を終了させてふと思った。
……貞操、守れたんか?!


END







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