事件
ストライカーが出来上がるまでともに宿で過ごすことになったティアとエース。二人はすることがなくとりあえず宿のベッドに横になっていた。
「なぁ、ティア」
「なに?」
「お前さ、俺と同じような能力もってんのか?」
「…いきなりだね…」
「だってよ…気になるだろ、お前の名前で登録されてんのが三つもあるんだぜ?」
三枚の手配書を見せる。
どれも顔がちゃんと移っていないものだった。一つはフードをかぶっているもの、横顔、そして後姿だった。
顔はどれも確認できるものではなかった。
「…親父はこっちが正しいだろっつってたけどよ」
3億Bと書かれた手配書を見つめるエース。
ティアはふと微笑む。
「どうだろうね」
意味深な言葉を発し、微笑む。
つまりそれは『聞くな』ということなのだろう。
エースは納得がいかないような表情を見せてからベッドに突っ伏す。
「ティア、やっぱ俺明日にはここ出るわ」
「え、そうなの?」
「あぁ。ちょっと用事があってな」
にかっといつも通り微笑み、ティアの頭を撫でる(帽子だが)
ティアは小さく微笑み、
気を付けてね、と発した。
「ま、とりあえず今日は一緒なわけだしよ、
街ブラブラしねぇか?」
「ブラブラ!うん、いこ!」
嬉しそうにニコリと微笑むと、二人で宿を後にした。
・・・
「メリーが…」
一方麦わらの一味、ルフィとナミはアイスバーグと話をつけていた。
彼らの海賊船、メリー号はもうこれ以上彼らを乗せて航海はできない。とガレーラカンパニーの連中は告げたらしい。
それに納得いくはずのないルフィは、講義するも事実は事実。
秘書であるカリファがカタログをルフィに渡し、別れることになった。
そしてルフィとナミは気づく。
ウソップと二億がないことに。
「ルフィはフランキーハウスに!
私もすぐいくわ!」
別行動になった。
・・・
「ねぇ、エース、ここのおいしいね」
「あぁ、水水肉めっちゃうまいな!」
二人でレストランで食事をしている。
そんな中仮面の連中を目にする。
(パーティーでもあるのかな?)
少し不思議に思っていると、自分の皿から肉が消えている。
「あれ?俺食べたかな?」
「いや、俺が食べた。残ってたしな」
「あ、そっか…って違う!なんで食べたの?!」
楽しみにしてたのに!というティアにエースはす、すまん!と慌てて謝る。
しかしティアは残念そうに皿を見るだけ。
「…ほら!」
「!…え?」
エースがフォークにフルーツを刺してティアに向けている。
いわゆる『あーん』のような状態だ。
「…いいの?」
「あぁ!好きなだけ食べろ!」
「…あむ」
口をぱかっと開けるとそのフルーツを口に入れる。
そんなティアを見て心臓がどくんっと高鳴る。
(や、やべ、い、今のかわいかった…)
頬に熱が集まるのを感じ、思わず顔をそらす。
「エース…?」
おいしいと言って食べていたティアもその様子に気づき、
不思議そうに首をかしげる。
(コイツは男だ!俺何考えてんだ?!)
自分の気持ちと葛藤する。
ティアへの気持ちが異常であることに気づいているエース。
しかしそれはどうしても止められるものじゃなかった。
「…気分悪いのか?」
そっと頭を撫でるティア。
そんなティアをちらりと見上げる。
すると笑顔を向けられた。
「…大丈夫だ!」
にこっと笑って見せる。
すると安心したように笑うティア。
(やべぇな…俺もそろそろ末期か…)
男が好きになるなんて…と悩むエースだった。
←・
→