※これは添い寝CD後の妄想ストーリーです※
「ぐおぉぉぉぉ……」 レストとマーガレットの邪魔をしてしまった俺は、何かに苛まれながら街へ戻っていた。 レストとマーガレットがそんな関係だったのかと初めて知ってショックを……ショック?いや、ショックではなくて、その、なんだ……だぁぁぁぁ!畜生!! なんだかよく分からない感情が俺の中で渦巻いていた。
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「オヤ?ディラス君、メグはどこデスカ?」 帰ると、ポコリーヌさんにそう聞かれた。そういえば、俺はマーガレットを探してくると言って出たんだった。 いやしかし、俺はさっきの光景を黙っておいてやるとマーガレットには言ってしまってあるためポコリーヌさんには事情を説明出来ない。なんと言ったものか……。 「お、おう……なんかマーガレットの奴は用事が有るみたいで…………」 うむ。我ながらナイスフォローだ。感謝しやがれ、マーガレット。
「…………。そうデスカ。たまにはメグにも羽を伸ばしてもらいましょウ」 フアフォウッと、奇声をあげながら笑顔でポコリーヌさんは言った。と、同時に作ったばかりの料理に手を出……「させるかァッ!!」 すのを阻止。俺はポコリーヌさんから皿を取り上げた。ガーンッとポコリーヌさんはショックを受けたような顔になるが、俺は構わず客にその料理を運んだ。
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夕方になって、マーガレットは帰ってきた。しかし、気まずいのか俺と目を合わせようとはしない。まあ、俺も気まずいが。 「用事は済みまシタカ?」 そんなマーガレットにポコリーヌさんは笑いかけた。こんな時、この人がこういう性格の人でよかったと思う。 「うん。凄く楽しかった」 「それは良かったデス」 「…………ハッ」 マーガレットが少し墓穴を掘っていたけれど、気にしないことにしといてやろう。ポコリーヌさんは気付いていないようだし。 ……それにしても、楽しかったのか……そうか…………膝枕が……。
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店を閉めると、俺はそのまま自室のベッドに寝転がった。しかし、目をつぶっても昼間のあの二人を思い出してしまう。 別に、マーガレットが好きな訳じゃない。いや、好きなのだけれどその好きとは違ってなんと言うか…………そう、恋愛対象じゃないんだ。恋愛対象じゃないのに、何だろうか、このモヤモヤ感は…………。 「……チクショーッ!!」 結局俺は一睡も出来なかった。
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次の日。 いつもレシピパンを買いにくる時間に、レストは訪れなかった。 「ま、まさか……かけ……駆け落ち……!?」 昨日、あんなにも仲むつまじそうにしていた二人だ。有り得ない訳でもない。しかし駆け落ちしたとして、あの二人に行く宛なんて有るのだろうか?……そういえばいつだか前に、レストが別荘を買ったと言っていたような気がする。まさか、其処に………… 「ぐおああああぁぁぁぁ……」 何だ。何なんだこの感情と言うか何というか何か……分かんねえよ!! 「……ディラス、なにやってるの?」 思わず頭を抱えて唸っていたら、後ろにマーガレットがいた。冷たい目で俺を見ていた。畜生、誰のせいだと思ってやがる。 「よ、ようマーガレット…………ん?お前、レストは?」 てっきり駆け落ちしたと思って唸っていた物だから、マーガレットが居ることに凄くビクついたのは内緒だ。 「レスト君?なんで?」 「あいつ、いつもこの時間には来るのに今日は来てないからよ……」 「確かに……私の所にも来てないような…………」 「…………そうか」 何故か知らないけど嫌な予感がした。
「ちょ、ちょっと俺急用を思い出した!」 俺は店を飛び出した。
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「何やってんだあいつ……」 膝に手をついて乱れた息を整えながら俺は呟いた。 セルフィアを一周回って、手当たり次第にレストの事を聞いてみたが、誰一人今日はレストに会っていなかった。あろうことか、セルザにも。
「後は此処だけか……」 後探していないのは此処、城の裏の畑だけだ。もし此処にもあいつが居なかったら俺にはどうすることも出来ない。セルザに頼むとしよう。 そう思いながら俺は畑に足を踏み入れた。
「広すぎねーか……?」 第一声、口からこぼれたのはそんな言葉だった。どうやら畑は俺が今居るところを含めて五カ所あるらしい。俺は一つずつ畑を丁寧に調べていった。
「お、おい、レスト!!」 三つ目に入ったカルディア畑で、レストを見つけた。レストは如雨露を持ったままぐったりと倒れていた。慌ててレストを担ぐと、意外にも軽くて驚いたがそのまま病院へ走った。
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「恐らく、いつも通り働きすぎですね」 レストを診てジョーンズさんはそう言った。いつも通りとはどういう事だろうか。 「あれだけ畑が広いですからね。……最近はよく倒れるんですよ」 困りものですねと、ジョーンズさんは苦笑した。そして、俺を見て微笑みながら言った。 「念のため、今日はレスト君がこれ以上働かないように見ていてくれませんか?」 俺は迷わず了承した。
俺が了承すると、ジョーンズさんは何処かへ行ってしまい、俺とレストだけになった。これはこれで寂しい。 レストは昨日マーガレットに膝枕をされていた時のように、幸せそうな顔で眠っていた。まったく、人を心配させやがって。 「う……ん…………」 レストの声が漏れた。しかし起きる気配はなく、どうやら寝言のようだ。 「……ディラス…………」 「ッ!?」 一体こいつはどんな夢を見ているのだろうか。どうして俺はこんなにドキドキしているのだろうか。ああああ!!しかもなんでこいつはこうも可愛い顔をしているのだろうか。実は女と言われても絶対納得出来る。更に普段の言動がたまに俺をドキッとさせる。まさかこいつは……いや落ち着け俺!!こいつは男。こいつは男!!
嗚呼。
今日もまた俺は眠れない。
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