『△恋の格闘二本立て』


【ダゲキとナゲキ】

トレーナー達には分からない場所に、多くのポケモン達が共同して生息している。草むらから飛び出してくるポケモンなんて、ほんの一握りなのだ。

ヤグルマの森付近。
此処では主にダゲキやナゲキが生息している(オタマロは触れないことにする)。
人の目につかない森の中。その少し開けた場所は公園のような扱いなのか、多くのダゲキやナゲキが散り散りになって遊んでいる。ひたすら木に向かってローキックするダゲキや、タックルをし続けるナゲキ。岩をひたすら持ち上げて自慢大会を繰り広げる輩や、瓦割最高記録を競い合う輩など、本当に様々だ。ただ、皆格闘に通ずるような事しかしていないため、公園よりも稽古場に近いような気がしなくも無いが。
そんな事は置いといて。
多くのダゲキやナゲキが格闘に通ずる何かを嗜んでいる中、二体だけただただ殴り蹴り合っていた。トレーナーが見れば、ダゲキとナゲキの喧嘩だと思っただろう。

だが、違う。

ダゲキやナゲキ達が見れば、それはカップルがいちゃついているだけの構図なのである。公開バカップル。勿論、他のダゲキやナゲキ達はそれを見ていい気分では無い。けど、彼等は大人だった。
彼等は、誰かが呼んだマメパトなどの鳥ポケモンに全てを託し、バカップルを残して帰るだけという事しかしなかったのだから。

おわれ。



【カイリキーお姉様】

ポケモンにだって恋愛感情はある。ごく希に、その恋愛感情が主たるトレーナーに向いてしまうことだって…………。


カイリキーの朝は早い。

彼女の事を仮にリキ子としよう。リキ子はトレーナーに恋心を抱いてしまっていた。その恋心は結果的にモンスターボールを無理矢理こじ開けて、彼女をボールから解放させる事となったのが、その話は省く。
そういう訳で、実質自由の身となった一途なリキ子は、トレーナーの妻のような存在になる道を進もうと決意した。そして、花嫁修行を始めた。
朝早く起きたリキ子は、まず四本の腕をフルに使って朝食を作る。その手際の良さは圧巻だ。そんじょそこらの女には到底真似できないほどの速さだ。

圧巻の速さで朝食を作り終えたリキ子は、朝食が冷めない内にトレーナーを起こしに行く。
フリルのエプロンドレス(特注サイズ)を身に纏った女の子が起こしてくれるなんて、全男の夢だと言っても過言ではない。このトレーナーは幸せ者だ。うん。
二本の腕で優しく揺すりながら、一本の腕は力をかなり加減して『めざましビンタ』をする。
「…………ああ、おはよう。カイリ――――」
甲斐甲斐しい彼女によって、目覚めたトレーナーは起き上がろうとして、唇をいやなんでもない。

余談だが、このカイリキーは愛の力で『あくまのキッス』を覚えたとかなんとか。

おわれ。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -