『●みどりずきん』


昔々、あるところにあかずき……緑ずきんというしょうじ……少年が居りました。
「おい、待てナレーション」
地の文にケチを付ける不届きものこと緑ずきんは、ずきんというか緑のパーカーのフードを被った、ごく普通の少年でした。それじゃあつまらないと思った人は、脳内で彼にひらひらのスカートをはかせて喜ぶのでした。嗚呼、変態とは恐ろしい。
しかし、緑ずきんも実は変態で、女装をすることに生きがいを感じ始める変態だったのです。
「ちょっと待てぇぇぇぇッ!?」

五月蝿い奴はさておき、「さて置くなッ!!」……さておき、緑ずきんはお母さん……ではなく、フレンドリーショップの店員さんに、病気のお婆さん……否、研究熱心なお爺さんへ荷物を届けるよう頼まれるのでした。
「なあ、面倒くさくなってきてないか?」
地の文への突っ込みはスルーして参ります。

お爺さんの家へ行くには、幾つかの草むらを通り抜けなければなりません。しかし、草むらには怖い狼には似ても似つかぬ可愛いポケモン達が沢山暮らしているのです。
心優しい緑ずきんは、一瞬だけ悩みました。そして、草むらを通る途中出て来たポケモンは、経験値の肥やしにしようと思いつきました。緑ずきんは鬼でした。
「ボロクソ言い過ぎだろナレーター!!」
……こほん。
なんとか草むらを通り抜けた緑ずきんはお爺さんの家にたどり着きました。そして、ノックもせずにずかずかと上がり込んでいきました。
ずかずかと緑ずきんが奥へ入っていくと、其処には赤い猟師と、黄色いネズミが緑ずきんを待ちかまえていました。
緑ずきんが、預かりものを机の上に置いたことを確認すると、赤い猟師と黄色いネズミが緑ずきんに襲いかかりました。正しくは、バトルを始めました。もう少し正しく言うと、ストーカー気質な緑ずきんが赤い猟師に勝手に挑みました。
「確かにあってるけど、そんな言い方しなくたってよくないか?」


案の定、緑ずきんは赤い猟師にこてんぱんにされて、捨て台詞を吐いてからお爺さんの家を飛び出していったのでした。

めでたし。めでたし。





「なんて話を考えてみたのですがどう思いますか?グリーンさん」
一枚の紙に書かれた文章を読み終えると、コトネは嬉々とした顔でグリーンに感想を求めた。
「どう思うも何も、これはない」
自分を題材にされたことに不満があるのかは分からないが、グリーンはそっぽを向きながら言った。
「しかもめでたくないし、俺はどこでもレッドに負けるんだな!!」
一番重要なのはそこらしい。らしいと言えばらしいのだけれど。

「ちぇ、駄目か。じゃあせめてフード被ってひらひらのスカートを」
「はかないからな?」
グリーンの即答に、不満そうに口をとがらせながらコトネは紙をポーチに仕舞った。

「次はもっとすごい緑ずきん書いてきますから!」

コトネはリベンジを近い帰って行った。グリーンは、結局コトネが何をしたかったのか分からないまま取り残され、一人頭を捻るのだった。




よく分からないまま、じ・えんど



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