「仙人さんッ!!」

マズい。
主戦力である仙人さんがやられた。
……いや、そんな事よりも、流石の仙人さんもあのレベルの電撃を喰らって無事であるはずがない。
赤いチャイナ服がブスブスと焦げていた。二発目は、一発目で仙人さんを倒しきれなかったせいか長く電撃を浴びせていたことだし。
一応、全身が痙攣しているから生きているのは分かるけれど、危険な状況かもしれない。

私は空間移動を使って仙人さんを、隅に避難している小坂さんに預けることにした。
「あ?空美か。どうし……何があった!?」
座っていた小坂さんは仙人さんを見るなり声を張り上げた。
そういえばここら一帯は、空間に壁のような物が張り巡らされていてここからでは戦闘の様子が見えない。
……雪乃さんがやったのだろうか。かなり頑丈なバリアになっている。此処なら安全だろう。
「……リミッターを外した状態のスタンガンの電撃を、二発…………っ、小坂、さん、治療お願いしますっ」
悲惨な状況になっている仙人さんの姿を見たら泣きそうになってきた。
スタンガンを押し当てられたらしいところのチャイナ服は焼き切れて肌が露出していた。肌もダメージを受けていて、一発目の足と露出した肌は真っ赤だ。
「ああ、分かった……気流子、ちょっと手伝ってくれ」
「分かったよー…………暁ちゃん……」
お姉ちゃんに斬られた傷がなんとか回復したらしい気流子さんが、仙人さんを抱きかかえて運んだ。普段空気をクラッシュする彼女も流石に仙人さんを見たら真面目になるしかないようだった。
「わ、私はまた戻ります!お姉ちゃんをなんとかしなきゃ…………」
「ああ、分かった」
既に仙人さんの処置を始めている小坂さんは背中で応えた。流石仕事が早い。

「空美」
またテレポートしようとすると呼び止められた。
「その……こんな事しか言えねえけど気をつけろよ」
「……ありがとうございます。行ってきます!」
彼なりの不器用な気遣いに微笑みながら私は戦場へ戻った。

「……さて、空美。姉妹対決だ」
戻るとお姉ちゃんしか立っていなかった。
「あれ、怖目さんは……?」
「倒れた」
当然だと言わんばかりの態度でお姉ちゃんは言った。
「どうやら奴は、あの攻撃を食らった瞬間に自分に、『もう一度攻撃するまで倒れない』という呪いをかけたようだ」
「なるほど……」
「流石にあんなの喰らったら誰でも倒れるのが普通だ」
珍しい。
お姉ちゃんが他人を評価するなんて。
確かに、それほどさっきの仙人さんの攻撃は凄まじかったけれど。
多分、あそこまで全力で無くとも、気を失わせるだけならあの人はなんとかなったはずだ。その前の頭突きも相当なものだったのだし。

「……久々の手合わせだな」
「……そう、だね」
そう言いながら私達は同時に動いていた。
しかし私達は双子。どちらも空間を操る能力を持っているのだからお互いにお互いの攻撃が当たることはない。
お姉ちゃんが刀を振るえば私は空間操作で斬撃を無効化し、私が空間操作をしようとすればお姉ちゃんは刀でそれを阻止する。
そんなやり取りが何回も何十回も繰り返されていた。恐らくお互いの体力が尽きるまでエンドレスで続くだろう。

でも、これでいい。
私は音無さんを守れればいいだけの話だ。お姉ちゃんの足止めが出来ればそれでいい。
「それに、今日は武器に溢れている!『空間移動』《トリック・トリック》!!」
猫さんの氷、音無さんの鎖、葉折さんの葉。流石に雪乃さんの幻術は無理だけれど、私はみんなの攻撃のおこぼれを貰うことが出来るのだ。
「くっ……同じ場所に居るのは厄介だな…………!」
三方向から微妙に時間差をつけて氷と鎖と葉をお姉ちゃんに仕向ける。お姉ちゃんはそれを刀で切り裂いていくけれど、当然隙は出来る!
「『昼夜流格闘術、爆砕掌』!!」
見様見真似で覚えた武術をお姉ちゃんに容赦なく叩き込む。
しかし、私の掌は床を破壊しただけだった。
「相変わらずの反応速度だね……お姉ちゃん」
「……空美、お前いつお兄様の術を…………」
「真似してたら出来るようになった」
「…………」
えげつない、とお姉ちゃんはため息をついた。
でも、私には空間を操作する能力しか無かったのだから、この位覚えていないと何も出来ないのだ。
出来て良かったと今、本当に安心したし。

「勿論、バカの一つ覚えじゃないよ」
私は構え直した。

多分、決着はつかないだろうけれど。



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