「修行……!」

その言葉に誰よりも早く震えだしたのは仙人
まさか恐怖に震えるだなんて、そんなことはまず無いだろう(仙人に限って)
予想するに、これから取り組むことになるであろうハードな特訓メニューに武者震いをした……といったところか

「くわーっ!オラわくわくしてきた!ですだよ!」
某漫画のネタを再び口にしながらもがき始める仙人に、自分の予想が的中したことを悟る
どうやら猫さんも僕と同じことを考えていたようで、嗚呼やっぱりといった顔をしている
一方の僕は猫さんと同じ事を考えていたという事実に喜びを感じずにはいられなかった。以心伝心……些細なこととはいえ嬉しくない筈がない

「……まあそう慌てるなよ仙人ちゃん」
「まだ何をするとも決めてないんだぜ」
シリアスな雰囲気漂わせる猫さんに便乗して気流子さんも顔をきりりと引き締める。心なしか……いや、心なしでも何でもなくふざけてるだろこれ。彼女はふざけずにはいられないのだろうか
そもそも猫さんを抱きかかえてごろごろにゃんにゃんしている時点で(羨ましい)シリアスも何もない

「むおおう……適当にやる……訳にもいかないですだな、むうん」

仙人がとんでもないことを考えていた
何の為の修行だという話にもなってしまうではないか。守ってもらう分際で言うのも微妙だけど
「音無はまず治療からだ」
「そうなるね……その分の遅れを修行開始時に取り戻さないと」
何か恐ろしい会話が聞こえた気がするが聞かなかったことにしよう

「うーん……じゃあこうしよう」
しばらく悩んでいた様子だった猫さんが口を開いた

「何人かでチームを組む。近くの森や崖、湖など色々と修行をするには持って来いの場所はある」
「だけど猫神……いつまた敵が襲ってくるかもわからないよ」
葉折くんがいつになく真面目に議論する

「……うん、そこで……だね」
そう言うや否や唐突に空美さんの肩に跳び乗る猫さん。……なるほど

「人質作戦ですか」



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