「それじゃあさ」
これからのことなんだけど、と猫さんが続けた
「何とかなるかもしれない……それだけじゃ何も変わらないことは皆も重々承知しているよね」

確かに"何とかなる"と家でゴロゴロしていても何も変わらない。それどころか敵は総力を上げて僕を殺しに来ることだろう
猫さんが何を言いたいのか、ここにいる全員が察した。一般人である小坂くんまでもが目つきを鋭くさせているのがその証拠
つまりこれから起こるであろう戦いを見越してのことで
「組織に乗り込むよ」
無謀にも聞こえるその言葉に全員息を呑む。何とかなるだろうなどと甘い考えを持っていた僕には何も言う事はできない
やられるまえにやっちまえ、やられたらやり返せと言ったところか……猫さんにしては乱暴な考えだ

「ちょ……ちょっと待って下さい」
この中で唯一敵の情報を知りうる空美さんが慌てふためいた
「無茶です!はっきり言って……今のあなた達の実力では組織の長どころか、私を倒すことも叶わないんですよ!?」

オーバーとも言える空美さんの発言に何一つとして動じない猫さんではあったが、その事は十分わかっていると言わんばかりに痛々しくも包帯でぐるぐる巻きの僕を見た
確かに、葉折くんと仙人が駆けつけてくれなかったら今頃どうなっていたことか分かったもんじゃない
世界に比べたら僕1人の命なんて軽すぎるだろう。だけど大人しく死ぬ訳にもいかないじゃないか
なんとかなるさで好転してくれる程世界は甘くもない

ならどうするか、それは……

「……"今の"俺達では……だろ」
突然の発言
注目の的となった小坂くんは一歩前へ出て美空さんと対峙するように立つと、続けて話をした

「……正直……組織だの殺すだの殺さないだの、聞いていれば地球の危機とか?お前らの住む世界のことは理解出来ねえし、成る丈関わり合いたくも無い」

猫さんや仙人さんは黙って聞いているものの、世の一般人に聞けば万と返ってくるだろう意見に「でしょうね」やら「だろうね」と冷たく相槌を打つ空美さんと葉折くん
「一般人としてはな」
そんな冷たい暗殺者2人に憤怒するように話しを続ける小坂くん。3人の間に見えない見えない火花が散った

「てめえの都合で人の命をどうこうしようだなんて連中、治療士として放っておけねえんだよ!」
ましてやお隣さんの命の危機だってんなら尚更だと、そこまで言って我に返ったのか集まる視線に目を泳がせながら後ろに下がっていった
素晴らしいヘタレ……あ、いや治療士だ。世の治療士が皆彼のように誇りを持って仕事を全うしてくれたなら世界は平和なことだろう
「これがお隣同士の絆ってやつですか……?」と空美さんが納得いかない様子で訳の分からないことを呟くのを尻目に
猫さんが話の続きを話した
「そう、"今の"僕らでは到底組織の連中には勝てないだろう。だったらするべきことは1つさ」



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