「お腹空いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

そんな叫び声と共に何かが俺に後ろから追突した。
衝撃とか半端ない。当たり前だ。追突されて、俺はその何かと3メートル程飛んだのだから。
見事顔面から着地し、フローリングの床と熱烈なキスをする。嬉しくない。
「……床が恋人?」
「この状況を無理矢理ボケようとするな!!」
猫神が変なことを言い出した為、背筋で体を起こして突っ込む。たまに猫神のボケは変だと思う。感性がずれているような気がする。
嗚呼、背筋がツラい。
手を使わない理由は簡単。
俺に追突し、ぶっ飛ばし、うつ伏せになった俺に馬乗りになっているカエル女が膝で俺の両腕を踏んでいるからだ。体重が軽いくせに腕を1ミクロも動かさせない見事なる馬鹿力(?)が発揮されている。そんな力何処から湧いて来るんだ。
「とりあえず降りろカエル女」
背筋で体を持ち上げながらカエル女に抗議する。そろそろ背筋がツラいため早く降りてほしい。

「けろーん☆小坂君の背筋は何処まで強いのかな?検☆証!」
……聞き入れてくれねえ。
「気流ちゃんが黒気流ちゃんになってる……」「変な所で感心しないで助けてくれ猫神」
「黒猫に助けを求めるのかい?なるほど、これが猫の手も借りたい状況なんだね」
「知的ぶるな。意味がちょっと違うだろ」
猫の手も借りたい。
忙しすぎて、役に立たない猫の手ですら借りたい様子(アバウト)。
「知的……知的……メガネをかければ気流リンだって知的に!」
「それは無理なんじゃないか?お前はどうがんばっても知的n「はい、ちゅーっ☆」ぶっ!」
カエル女に現実を諭してやったら頭を押さえつけられ再び床と熱烈なキスをした。痛い。

嗚呼音無よ、早く正気に戻って俺を助けてくれ。
もう、色々考えるのもアホらしくなってきた。
「カエル女ーギブギブー飯作るから降りてくれ」
「しっかたないなぁ☆早くしてね?☆」
やっと解放され、踏まれ続けていた腕をさすりながら台所に行く。さて、何を作ろうか。





「飯出来たぞー」
パスタを作り終え、運びながら呼びかける。
こっちに駆け寄ってきたのはカエル女だけだった。音無が来ないのは予想していたが猫神も来ないとは……。
「猫神は?」
カエル女に訊いてみる。
「音無君を尻尾でペシペシしてるうちに寝ちゃったよー」
パスタを見て犬のように待ち構えながらカエル女は言った。冷めるのもアレだし、先に食べていいぞと言っておいた。勿論カエル女は言った瞬間にパスタに食らいついた。
そんなカエル女を後ろに、リビングへ様子を見に行く。

「…………」
リビングのソファには、何処を見ているのか分からない正気ではない音無と、その膝の上で寝る黒猫……つまり猫神が居た。
ぶっちゃけ羨ましい。音無が妬ましい。正気失ってんなよ愚か者が。フルボッコにしてやろうか。
実は初恋の相手に似ている猫神が気になっていたりする。誰にも言わないが。

猫神を起こさない程度に音無を往復ビンタする。やはり起きない。……少しだけ虐めてやろうかな。これで正気になったら色々認めてやる。

「音無ー、猫神には婚約者が居るらしいぞー……」

耳元で囁いた。
「――――ッ!?なんですってぇぇぇぇ!?」
小声で叫びながら正気に戻った。……恐ろしい奴……!!
「……あれ、小坂君。……えっと……僕は……あ!そうだ大変なんです……その、葉折君が……」
「落ち着け。全部猫神に読んでもらった。後あんまり動くなよ」
女装男の事を思い出したのであろう音無は慌てだした。俺はそれを止めながら、音無の膝の上で寝ている猫神を指差す。

案の定音無は固まった。

まあ、婚約者云々で正気に戻るくらいだしな。当たり前の反応だろう。

「ねねねねね猫さんが僕の膝の上にッ!!ふおぉ……密着……密着してる……。撫でてもいいかな抱き締めてもいいかないやでも寝ている間に撫でたり抱き締めたりするなんて男……否、人間としてどうなんだろう……。嗚呼僕の人生はもう終わるのかもしれない……そうじゃなきゃこんな幸せが訪れる訳が無いんだ……!!なら僕はこの幸せを存分に噛み締めて人生に幕を閉じるべきだな。うん。我ながらナイスだ!!残念な所をあげるなら、猫さんが黒猫で寝顔を見れないことだけど、黒猫だからこそ膝の上で寝てもらえる…!!嗚呼僕はなんで早くに気付かなかったんだ!!葉折君は帰ってくると信じる。一回結論が出たのに僕は何時までもうじうじと……ねぇ?小坂君」
「お茶の間にも伝わる変態コメントをありがとう。まずは落ち着け」
殴ってやった。そのせいで猫神が起きてしまったが、仕方がないだろう。
何が『ねぇ?小坂君』だ。俺を巻き込むんじゃない。

……なにがともあれ。
音無のキャラが崩れてもなんとか立ち直ったことに安心した俺だった。



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