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「何時まで寝ていやがる嘘誠院音無ィ!!」
頭上の岩を発見して意識を失い、そのまま寝ていたらそんな声が聞こえた。 「うー……後5分……」 「お前は学校に行くのを渋る餓鬼かッ!!いいから起きろ!」 「じゃあ……後5時間……」 「何がじゃあなんだ!?長えよ!!」 ぎゃあぎゃあと五月蠅いなあ……。僕は安眠したいのに…………。 仕方がない。このまま騒がせておくのも五月蠅いし、起きるとしよう。
起きた。 目の前に小坂君が居た。 「……おはようございます……小坂君」 朝の挨拶って大切。 「もう昼だバカ」 バカとはなんだバカとは。人を叩き起こしておいて……。こうなったら………… 「ふて寝してやr「させねーよ?寝るならあいつらどうにかしてから夜に寝ろよな」 僕の言葉を遮りながら小坂君は何かを指差す。そこには台所を漁る気流子さんと葉折君がいた。 ……小坂君……お気の毒に……。きっと食糧は食いつぶされてしまうのだろう。 「あれ?猫さんと仙人さんは居ないんですか?」 姿が見えない。他の部屋に居るのだろうか? 「いや、俺も何処にいるのかは知らない。気が付いたら居なくなってたんだ。チャイナ娘は無傷だからいいけど猫神は治療途中なんだけどな……」 お前はどっかに行くなよと、小坂君は僕に釘を刺した。 言われなくとも何処にも行く気は無かったから特に問題はない。
頭を触ってみるとなるほど。包帯が巻いてあった。 あの岩が頭に当たったのだろうか。 「あの……ありがとうございます」 「は?」 「いや、治療してもらいましたから」 「……っ別に、怪我人が居たから治しただけだし」 お礼を言っただけなのに小坂君はそっぽを向いてしまった。きっとこれは俗に言うツンデレだ。猫さんにやってもら(ry
こほん。ついつい本音が。
「あ!!音無起きたんだね!」 僕と同じ様に包帯を巻いた葉折君が僕に気付いた。 其処まではいいのだけれど……。 「何故抱き付く体制で直進してくるんですか!?」 ダッシュで近寄ってきた葉折君を避けながら突っ込む。 あ、僕が避けたら小坂君が………… 「な!?ちょ……!!なんだお前!?」 「僕が聞きたいよ!なんで僕が君に抱きつかなきゃいけないんだ!!」 「ハァ!?音無!この変態なんとかしろよ!」「あなたの治療でその変態を治してほしいくらいですよ!!」 「あぁ?俺の手に終えられるような変態度じゃねーよコイツは!」 「二人共、葉折がハートブレイクしてるですだ」 騒ぎ立てる僕らを何処からか現れた仙人さんが止めた。 いつ帰ってきたのだろう。 「あれ、仙人さん服を替えたんですね」 葉折君はスルーで仙人さんと会話。 今朝まで赤いチャイナドレスを着ていた筈なのだけれど、今はピンクのチャイナドレスだ。 「む?あ、ああ。今朝のオムライスと岩で汚れたですだからな。着替えたですだよ」 汚れたから着替えるなんて……仙人さんは綺麗好きだなぁ。感心感心。 もしかしたら頼めば家の掃除をしてくれるかもしれない。
「ところでワトソン君〜。ワトソン君の召喚獣って、どんなのなの?召喚師なんだよね?」
気流子さんが唐突にそんな事を言い出した。 そういえば僕は、狂偽兄さんを召喚獣にしてから一度も召喚していない。 ……怖かったから。 拒絶されるのも、恨まれるのも。 「ちょ……。気流子ちゃん、それは地雷だよ」 僕が教えたかどうかは忘れたけど、事情を知っている葉折君が気流子さんを止めようとする。 「いや、いいんですよ。葉折君。今から召喚……してみようと思います」
そろそろ狂偽兄さんと向き合うことにしよう。 逃げることを、止めて。
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