「……と、取り敢えず!その毒蛙をどうにかしてください気流子さん!」

それしか無いだろう。現実問題。

「えええええええっ酷いよ!1号はずっと一緒に旅して来た、言わば家族なんだよ!?てやっ」
「蛙と命とどっちが大事なんですか!ぎゃああああ」
「音無!家族と命とが選べる訳ないだろー!うあああ」

地獄絵図としか言い様がない。

猫さんの身体は重心を取れていない様に右に左にと揺れ動いている。そのお陰で壁に貼り付け状態の僕でもなんとか生き延びている。
右に左にと降り続く氷柱。その鋭く透き通った光は更に恐怖を煽った。


「ってゆうか気流子さんさっきから魔法連発ですけど、そんな小さな身体で魔力持つんですか!」
「MAHOU!?」

「……だ……だめ、だ……ちゃん……ちゃんと……当てなきゃ……当て……当てなきゃ…………」

気流子さんが固まったと同時に、猫さんが体制を立て直した。
無数に落ちる汗は、これは冷や汗と言うものだろう。

猫さんの頭上には、今までの小さな氷柱とは非ではない程の巨大な氷塊が出来ていた。
勿論家は無事ではすまないし、家の中なのに何故か空が見えるが、そんな事よりも自分の身だ。

僕ら諸共殺ろうってのか……!?

「凍……凍らせよう……らせれ、ば……、……丈夫」
「けけけ気流子さん早くっ早く水に変えちゃって下さい!流石に避け切れませんよってゆうか僕身動き取れていないですけど!」
「……気流、りん」

「……気流子さん?」
まさか魔力が尽きたというのか?それはマズい。非常にマズい。僕は狂偽兄さんの分も生きなければならないと言うのに。

「気流りん魔法嫌いぃい!ワトソン君のばかあああああ」
「言ってる場合か!」

使っていたのは自分じゃないか!
マズい。もう氷塊が目と鼻の先にあるのだ。
押し潰「おりゃあああああッ!」

パキョ、と

実に間抜けな音が聞こえた。


氷塊は一瞬にして消えて無くなり、辺りの水浸しも消えた。

残ったのは……半壊した家と、横たわる猫さん



……と、かいてもない汗を拭う……えーと……名前なんだっけ。



かいてもいない汗を拭う変態さん。



…………ん?あれ、さっきはよく見えなかったけど……、あの子……よく見ると……とてもとても…………



「ッッッ変態だあああああああっ!??」
「!?変態じゃないよー!いくら音無でも失礼だぞ!」

いやいやいや、そう言われましても……広い肩幅、メイクをしているけれど引き締まった顔立ち、若干筋肉質な太ももソックスでカモフラージュしているようだが僕の目はごまかせないぞ!
何より首に見える喉仏が証拠だろう

……な の に

スカートはいてるし絶対領域だしサイドテールだし葉っぱみたいなシュシュ(リボン?)つけてるし……可愛い服着てるし……ミニだし

ふむ……上から下まで舐める様に見させて頂く。


……うん。


「近ッッッ年稀に見る、ド変態だあああああああ」
「変態じゃないって言ってるじゃないかあああああああ」
「音無君のデベソぉおおおおおおお」

叫びの3コンボ。いやあ愉しくねえ。
ショタならわかる。ショタならまだ許せた。……もう、なんか……っ

ってゆうかデベソじゃねえ。
気流子さんがわからない。わからないです(変態さんもわからないが)。


……取り敢えず、さ

「なんか、最近来客多くね?」家が壊れる回数も。つーか家ってそんなに壊れませんから。
呟くこの声は儚くも誰の耳にも届かないで空に散っていった。


猫さんをそっと寝室に寝かせてから
3人で頑張って修理した。



……何か、最近
家族が増えた様な感覚に襲われる。
(何だかんだ気流子さんも女の子も居座ってるし)
苦悩の日々が始まってしまったのだろうか。

でも



やっぱり



人の暖かさを懐かしく思えて涙が出た。




明日は自己紹介をして貰おうか。なんて……
僕が交流しようとするのは、珍しいと思う。







……ごめん、     変態くんの名前を忘れただけだったりする。



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